2026.10.16
- 脂肪吸引

太もも脂肪吸引の仕上がりは「デザイン」で変わる――内もも・外張り・たるみ対策まで医師が解説
「太ももだけがなかなか細くならない」「パンツを履くと外側が張る」「内ももがくっつく」。太ももの脂肪吸引をご検討される方のお悩みはさまざまです。太ももは脂肪の量が多い一方で、取り方によっては凹みやお尻のたるみが出やすい部位でもあります。だからこそ仕上がりを左右するのは、どこを減らし、どこを残すかという「デザイン」です。本コラムでは、医学論文をもとに、太ももの脂肪吸引で知っておきたいことを順を追って解説します。
文・監修:儀間 智和(医師/GRACIA clinic)|VASER脂肪吸引認定医
この記事でわかること
・内もも・外張り・裏もも・膝まわりなど、部位ごとの特徴
・凹みやお尻のたるみを防ぐ「吸わない場所」の考え方
・当院の症例(大腿全周の脂肪吸引・手術後3か月)
・手術後の経過、効果の持続性、リスク
・皮膚のたるみが心配な場合の選択肢(タイトニング機器・皮膚切除)
・後悔しないためにカウンセリングで確かめたいこと
1. 太ももの脂肪吸引とは
脂肪吸引は、皮膚の下にある皮下脂肪を細い管で吸い出し、体の輪郭を整える手術です[1]。目的は体重を減らすことではなく、体のラインを整えることにあります。脂肪吸引で皮下脂肪を減らしても、血糖や血圧などの代謝の指標ははっきり改善しなかったという研究もあり、肥満や生活習慣病の治療の代わりにはなりません[2]。
太ももは、もともと皮下脂肪がつきやすく、食事や運動で体重が落ちても形が変わりにくい部位です。一方で、筋肉や骨格の形、皮膚のハリも見た目に大きく関わります。そのため、太ももの脂肪吸引では「どれだけ取るか」より「どこを、どのくらい減らし、どこを残すか」が仕上がりを決めます。
2. 太ももの部位別の特徴とお悩み
ひと口に「太もも」といっても、脂肪のつき方や注意点は部位によって異なります。多くの方は複数の部位が組み合わさって「太い」と感じているため、まずはどの角度から見たどの部分が気になるかを整理することが大切です。
・内もも
よくあるお悩み:脚を閉じると内ももがくっつく、すき間ができない
特徴・注意したい点:付け根付近は脂肪が厚い一方、皮膚が薄くやわらかいため、たるみや凹みが出やすい部位です。
・外もも(外張り)
よくあるお悩み:パンツの横が張る、腰から太ももに段差がある
特徴・注意したい点:脂肪がまとまってつきやすい部位です。骨盤や股関節の骨格による張り出しは、脂肪吸引では変えられません。
・裏もも
よくあるお悩み:後ろ姿で太ももが横に広がって見える
特徴・注意したい点:お尻との境目に近い部分を取りすぎると、お尻が垂れて見える原因になります。
・前もも
よくあるお悩み:正面から見て太ももが張り出して見える
特徴・注意したい点:筋肉の発達が太さの主な原因になっていることもあり、見極めが必要です。
・膝まわり
よくあるお悩み:膝の上にのる脂肪で膝が太く見える
特徴・注意したい点:太もも全体の細さとのバランスを見て、取りすぎないように整えます。
部分的に一か所だけを細くすると、隣の部位との境目に段差ができて不自然に見えることがあります。気になる部位を中心に、脚全体のつながりを見て範囲を決めることが大切です。
3. 仕上がりを左右する「デザイン」
下の図は、私が太ももの後ろ側の脂肪吸引をデザインするときの考え方を、脚の写真に重ねて示したものです。左のピンクは「吸わない・控えるところ」、右の緑は「しっかり減らしたいところ」です。
図1.太ももの後ろ側のデザインの考え方(儀間作成)。左:吸わない・控えるところ(お尻の下=吸うとお尻が垂れて見える/太ももの内側の中ほど=吸いすぎると削げる/膝上の外側=もともと脂肪が薄い)。右:減らしたいところ(外張り、内ももの張り、後ろのボリューム、膝横のぽにょ)。
※デザインの考え方を説明するための図であり、治療の効果を示す写真ではありません。
「吸わない場所」には医学的な理由がある
Rohrichらは、皮膚の下の組織が筋肉の膜に強くくっついている部位を癒着帯(zones of adherence)と名づけ、お尻の下のしわ、お尻の外側のくぼみ、太ももの後ろ側の膝寄り、太ももの内側の中ほど、太ももの外側の膝寄りの5か所を挙げました[3]。これらは体の自然な形をつくっている場所で、吸引すると凹凸が生じやすくなると整理されています[3][5]。
・お尻の下(お尻と太ももの境目):吸いすぎると、お尻を下から支える部分が失われ、お尻が垂れて見える原因になります。
・太ももの内側の中ほど:皮膚が薄く、組織のくっつきが強いため、削げたような凹みが出やすい場所です。
・膝上の外側:もともと脂肪が薄く、凹凸が出やすいため、積極的には吸引しません。
脂肪の「層」を意識する
太ももの皮下脂肪は、皮膚に近い浅い層と、その下の深い層に分かれています。解剖学の研究では、浅い層は細かい線維にしっかり包まれ、深い層は比較的ゆるやかな構造で、お尻から太ももにかけては深い層の脂肪が多いことが示されています[4]。浅い層を取りすぎると凹凸や色素沈着、たるみにつながる可能性があるため、浅い層は控えめに扱うべきとされています[5]。
GRACIA clinicのデザインの考え方
・ボリュームを減らす中心は深い層。皮膚に近い浅い層は、表面をなめらかに整える程度にとどめます。
・減らす場所と残す場所の境目は、なだらかなグラデーションでつなぎます。
・手術中は脚の向きや角度を変えながら、凹凸や左右差がないかを何度も確認します。
医学論文でも、さまざまな方向から少しずつ均一に吸引すること、浅い層を取りすぎないこと、わずかに控えめに仕上げることが、凹凸を防ぐポイントとして挙げられています[5]。
4. 症例紹介:大腿全周の脂肪吸引
内ももの張りと外側の張り出し(外張り)が気になっていた方に、太ももの全周の脂肪吸引を行った症例です。正面と後ろから、手術前(Before)と手術後3か月(3M)を比べています。
図2.大腿全周の脂肪吸引(正面)。左:手術前/右:手術後3か月。
図3.大腿全周の脂肪吸引(後ろ)。左:手術前/右:手術後3か月。
この症例のポイント
・正面:内ももの張りが減って脚の間にすき間ができ、腰から膝にかけての外側のラインがなだらかになっています。
・後ろ:太ももの外側と後ろのボリュームを減らしながら、お尻の下はあえて残しています。そのため、太ももは細くなってもお尻の丸みと高さが保たれています。前の章でご説明した「吸わない場所」を守るデザインの考え方です。
・脚全体:一か所だけを細くするのではなく、内もも・外もも・裏ももを一続きのラインとして整えています。
施術内容:大腿全周(内もも・外張りを中心とした太もも全体)の脂肪吸引(VASER)/自由診療
費用:ベイザー脂肪吸引 太もも全周(太もも内側・外側・前側)770,000円(税込・通常価格)/モニター価格616,000円(税込)。別途、麻酔費用(全身麻酔165,000円、または静脈麻酔の基本セット66,000円〈麻酔代・内服薬・サポーター〉)がかかります。BMI25〜30の方は55,000円、30以上の方は110,000円が加算されます(いずれも税込)。
撮影時期:手術前/手術後3か月
主なリスク・副作用:腫れ、内出血、痛み、むくみ、拘縮、凹凸、左右差、皮膚のたるみ、知覚低下・しびれ、色素沈着、傷跡、感染、血腫、漿液腫、熱傷、血栓塞栓症、麻酔に伴う合併症など
※写真は個人の結果であり、効果には個人差があります。撮影時の姿勢や照明により見え方が異なる場合があります。手術後3か月の時点の写真であり、仕上がりはその後も変化します。ご本人の同意を得て掲載しています。
5. 運動だけで太ももが細くなりにくい理由
「スクワットや脚のトレーニングを頑張れば、太ももの脂肪だけ落とせるのでは」というご質問をよくいただきます。
ある研究では、片脚だけでレッグプレス(脚で重りを押す運動)を12週間続けてもらいました。その結果、体全体の脂肪量は減ったものの、減り方が大きかったのは腕や胴体で、鍛えた脚の脂肪にははっきりした変化がみられませんでした[6]。腹筋運動だけではお腹の皮下脂肪が減らなかったという研究もあります[7]。
研究の読み方
いずれも少人数の研究のため、これだけで結論づけることはできません。また、運動には健康を保つうえで大きな意義があります。ただ「狙った場所の脂肪だけを運動で落とす」ことには限界があり、部分的な輪郭を変える方法として脂肪吸引が選ばれる理由のひとつになっています。
6. VASER(ベイザー)脂肪吸引について
脂肪吸引には、脂肪をそのまま吸い出す従来の方法のほか、超音波・レーザー・高周波などのエネルギーを組み合わせる方法があり、それぞれに利点と限界があると整理されています[8]。VASER脂肪吸引は、超音波で脂肪をほぐしてから吸引する方法です。
同じ方の左右でVASERと従来法を比べた研究(女性20名)では、VASER側のほうが皮膚の縮みが大きかったと報告されています(吸引量1Lあたりの皮膚面積の縮小:17% 対 11%)[9]。一方で、差は小さく、慎重に解釈すべきだという意見もあります[10]。
当院では、太ももの脂肪吸引にVASERを使用しています。ただし、VASERを使えばたるみや凹凸が起きないというわけではありません。超音波による熱傷(やけど)など、VASER特有のリスクもあります[1]。仕上がりを左右するのは機器の名前だけではなく、どこを残し、どこを減らすかというデザインです[11]。
※VASERは国内未承認の医療機器です。詳しくは本記事末尾の「使用機器に関する注意事項」をご確認ください。
7. 皮膚のたるみ対策:レヌビオンなどのタイトニング機器
太ももの脂肪吸引で多いご心配が「脂肪を取ったあと、皮膚がたるまないか」です。特に内ももは皮膚が薄くやわらかいため、もともとハリが少ない方や、年齢・出産・体重の増減で皮膚が伸びている方では、脂肪を減らしたぶん皮膚が余って見えることがあります。
脂肪を取り除くと、皮膚はその下の土台に沿って縮もうとします。この「縮む力」が足りない場合に、脂肪吸引に皮膚の引き締めを目的としたエネルギー機器(タイトニング機器)を組み合わせる方法があります。
・たるみが少ない
考えられるアプローチ:脂肪吸引のみ。取る量と層を調整し、皮膚が自然に縮む力を引き出すことを目指します。
・軽度~中等度のたるみ
考えられるアプローチ:脂肪吸引にタイトニング機器の併用を検討します。
・皮膚の余りが大きい
考えられるアプローチ:機器では引き締めきれないことが多く、皮膚を切り取る手術(大腿リフト)も比べて検討します[26]。
※目安です。実際は皮膚をつまんで伸び方・戻り方を確かめ、診察で判断します。
レヌビオン(Renuvion)とは
レヌビオンは、ヘリウムガスと高周波(ラジオ波)エネルギーを組み合わせて「プラズマ」をつくり、皮膚の下からごく短時間だけ組織を加熱する機器です[12][13]。脂肪吸引で脂肪を取ったあと、同じ小さな傷口から細い棒状の器具を皮膚の下に入れて使うため、新たな傷を増やさずに併用できます。
皮膚が引き締まるしくみ
皮膚の下の脂肪の中には、皮膚と筋肉の膜をつなぐ「線維の網目」が張りめぐらされ、皮膚のハリを下から支えています。レヌビオンは、この網目にエネルギーを集中させて引き締めます。
1. プラズマをつくる
器具の先端からヘリウムガスを流し、高周波エネルギーを加えると、電気を通しやすい「ヘリウムプラズマ」が生まれます。
2. 線維の網目を一瞬だけ加熱する
エネルギーは皮膚の下の線維の網目に集中します。網目は約85℃まで加熱されますが、その時間は0.04~0.08秒ほどとごく短く、周りの組織は低い温度に保たれてすぐに冷えるように設計されています[12]。
3. その場で縮む(即時の収縮)
皮膚を支えるコラーゲンは熱が加わると縮む性質があり、約67℃前後から変化が始まり、長さが最大で3分の1ほど縮むとされます[13]。網目が引き締まることで、皮膚が下の土台に沿って寄り添いやすくなります。
4. 数か月かけてハリが育つ(コラーゲンの再生)
熱を受けた組織では、体の修復反応として新しいコラーゲンがつくられます。この変化は約6か月かけて進むとされています[13]。
VASERとの役割の違い
VASERは「脂肪をほぐして減らす」ための機器、レヌビオンは脂肪を取ったあとに皮膚の下の線維の網目そのものにエネルギーを加えて「引き締める」ための機器です。役割が異なるため、たるみが心配な方では組み合わせて使うことがあります。
ほかの選択肢:高周波を使う脂肪吸引(RFAL)
皮膚の内側と外側に電極を置き、その間に高周波を流して組織を温める方法(RFAL)もあります。皮膚の表面温度を見守りながら、皮膚の下の温度を上げてコラーゲンを縮ませる仕組みです。二の腕にRFALを使った研究では、1年後に皮膚の面積が平均33.5%縮んだと報告されています[14]。ただし症例数の少ない研究で、太ももにそのまま当てはまるとは限りません。
研究でわかっていること・まだわかっていないこと
・米国FDAの販売許可:首・あご下のたるんだ皮膚の見た目を改善する目的での使用について、2022年に販売許可(510(k))を取得しています。その根拠となった臨床試験では、6か月後に82.5%の方で見た目の改善がみられたと報告されています。その後、脂肪吸引後の皮下組織の凝固を目的とした使用についても許可が加わったとされています[15]。
・体のさまざまな部位での使用:お腹・腕・脚など、首やあご下以外の部位でも、脂肪吸引と組み合わせた使用経験が報告されています[16]。
・安全性:6つの研究(483名・1,184部位)をまとめた解析では、脂肪吸引に併用しても、脂肪吸引のみの場合と比べて合併症が増えなかったと報告されています[17]。
研究の読み方
現在の報告は、後ろ向き研究や症例報告が中心で、製造元が関わった研究も少なくありません。太ももに限定して、脂肪吸引のみの場合と厳密に比べた質の高い研究はまだ限られています。また米国では、重いやけどなどの有害事象の報告をふまえ、FDAが安全性に関する情報を公表した経緯もあります[15]。「使えば必ず引き締まる」機器ではなく、たるみの程度に応じて、期待できる変化とリスクを比べて判断する治療です。
タイトニング機器の主なリスク:熱傷(やけど)、漿液腫(体液のたまり)、腫れ・むくみ・硬さの長期化、一時的な神経痛・しびれ、たるみが十分に改善しないことなど。まれに、ヘリウムガスが皮膚の下などに広がる合併症の報告もあります[15]。
※レヌビオンは国内未承認の医療機器です。未承認である旨と諸外国における安全性等に係る情報は、本記事末尾の「使用機器に関する注意事項」にまとめています。
8. 手術後の経過とダウンタイム
太ももの脂肪吸引は、手術後しばらく腫れやむくみが続きます。経過には個人差があり、吸引する範囲や量、タイトニング機器の併用の有無によっても変わります。以下は一般的な目安です[1][18]。
・手術当日~数日
痛み・腫れ・むくみが最も強い時期です。傷口から麻酔液がにじみ出ることがあります。圧迫着を着用し、無理のない範囲で歩くことが血栓予防にもつながります。
・1~2週間ごろ
内出血が黄色っぽく変わりながら薄くなっていきます。太ももの場合、むくみが膝から足首のほうへ下がってくることがあります。デスクワークなどへの復帰を考え始める時期です。
・1か月ごろ
腫れが引き始めますが、皮膚が硬く感じたり、つっぱったりする「拘縮」が目立つ時期です。多くは一時的なものです。
・3か月ごろ
硬さがやわらぎ、ラインが落ち着いてきます。
・6か月~1年
仕上がりがほぼ完成します。気になる点があって修正を考える場合も、少なくとも6か月~1年は経過をみることがすすめられています[18]。
圧迫着の着用期間や、仕事・運動・入浴の再開時期は、施術を受けた医療機関の指示に従ってください。手術後早い時期の見た目は最終的な結果ではないため、焦らずに経過をみることが大切です。
9. 効果は続く?満足度は?
吸引した太ももの形は保たれやすい
下腹部や太ももなどの脂肪吸引を受けた女性(14名)と受けなかった女性(18名)を1年間比べたランダム化比較試験があります。体全体の脂肪量は1年後には両グループで差がなくなりましたが、太ももが細くなった状態は保たれていました。一方で、脂肪はお腹(特に上腹部)に再びつく傾向がみられました[19]。
つまり、吸引した部位の形は保たれやすい一方、手術後に体重が増えれば、ほかの部位に脂肪がつく可能性があります。手術後の生活習慣や体重管理も、きれいなラインを保つための大切な要素です。
満足度に関する研究
超音波を使った脂肪吸引やお腹の手術を受けた360名に面接調査を行った研究では、全体の88.8%が結果に満足し、85.8%が自己肯定感の向上を、69.6%が生活の質の向上を報告しました。脂肪吸引のみの方の仕事を休んだ期間は平均約6日でした[20]。ただし、主にお腹を対象とした研究で、回答率は約65%であり、太ももにそのまま当てはまるとは限りません。
10. リスク・合併症と安全性
データで見る脂肪吸引の安全性
米国の大規模なデータを分析した研究では、脂肪吸引のみを行った11,490件のうち、手術後30日以内に救急受診・入院・再手術が必要になった重い合併症は0.7%でした。内訳は、血腫(血のたまり)0.15%、肺の合併症0.1%、感染0.1%、血栓症0.06%です。一方、ほかの手術と同時に行った場合は、重い合併症のリスクが約4.8倍に高まっていました[21]。
局所麻酔のみで行った3,240件の脂肪吸引では、死亡や入院が必要な合併症はなかったという報告もあります[22]。ただし、これは一人の医師による報告で、どの施設でも同じ結果になるとは限りません。また、重い合併症や死亡例の報告もあり[23]、脂肪吸引は「手軽な施術」ではなく、れっきとした手術です。
太ももの脂肪吸引で起こり得ること
・腫れ・内出血・痛み・むくみ:手術後しばらくは多くの方に生じます。
・拘縮(硬さ)・つっぱり感:一時的に皮膚が硬く感じる時期があります。
・凹凸・左右差:脂肪吸引で最も多い合併症は輪郭の不整で、最大9%の方に凹みや段差などがみられたという報告があります[5]。
・皮膚のたるみ:皮膚の弾力が少ない方や、吸引量が多い場合に起こり得ます。
・感覚の鈍さ・しびれ、色素沈着、傷跡:多くは時間とともに目立たなくなりますが、個人差があります。
・感染・血腫・漿液腫(体液のたまり)・血栓症:頻度は低いものの、起こり得ます[5][21]。
・VASER特有のリスク:超音波による熱傷(やけど)など[1]。
11. 向いている方・慎重な判断が必要な方
向いている可能性がある方
・運動や食事に気をつけても、太ももの形が変わりにくい
・皮膚のハリが比較的保たれている
・体重は標準~やや多めで、部分的な形を整えたい
・内もも・外張り・裏ももを含めて、脚全体のバランスを整えたい
慎重な判断が必要な方
・大幅な減量後などで、皮膚のたるみが主な原因になっている
・脚の太さの主な原因が筋肉や骨格にある
・体重を大きく減らすことが目的である
・血栓症の既往、喫煙習慣、傷の治りに影響する持病がある
一般に、皮膚の弾力が保たれていて、理想体重との差が20~30%以内の方のほうが、望ましい結果が得られやすいとされています[5]。
12. 後悔しないためのクリニック選び
国民生活センターによると、美容医療サービスに関する相談は年々増えており、2024年度は1万件を超えました。脂肪吸引も、相談が寄せられている施術のひとつとして挙げられています[24]。厚生労働省でも、美容医療の安全確保に向けた検討が進められています[25]。後悔のない選択のために、カウンセリングでは次の点を確かめてください。
1. 自分の太さの原因は、脂肪・筋肉・骨格・皮膚のどれが中心か
2. 吸引範囲は「内もも」「外張り」「裏もも」「前もも」「膝」のどこまでか、その理由は何か
3. お尻の下や太ももの内側の中ほどなど、吸わない場所はどこか
4. 皮膚のたるみへの対策として、タイトニング機器の併用や皮膚を切り取る手術が必要か
5. 凹凸・たるみ・左右差が起きた場合の対応
6. ダウンタイム(圧迫期間、仕事や運動への復帰の目安)
7. 診察から手術、術後の経過まで、同じ医師が担当するか
相談のコツ
「ここが太い」と一か所を示すだけでなく、「正面・横・後ろのどの角度が気になるか」「どんな服を着たときに気になるか」を教えてください。また、細くしたい場所と同じくらい「避けたい変化(お尻が垂れる、凹むなど)」を伝えていただくと、より安全に配慮したデザインにつながります。その場で契約を急がせるような説明を受けた場合は、一度持ち帰って検討することも大切です。
13. よくあるご質問
Q. 太ももの脂肪吸引で、体重はどのくらい減りますか?
A. 脂肪吸引は体重を減らすための治療ではなく、ラインを整える治療です。見た目が大きく変わっても、体重の変化はわずかなことが多いです[1]。
Q. 内ももだけ、外ももだけといった部分的な吸引はできますか?
A. 可能です。ただし、一か所だけを細くすると周りとの境目に段差が出ることがあるため、脚全体のバランスを見て範囲をご提案します。
Q. リバウンドしますか?
A. 吸引した部位の形は保たれやすいとされていますが、体重が増えるとほかの部位に脂肪がつくことがあります[19]。手術後の体重管理が大切です。
Q. 傷跡は目立ちますか?
A. 数ミリ程度の小さな傷を、下着のラインやしわなど目立ちにくい場所に設けます。傷跡がまったく残らないわけではなく、体質により目立ち方には個人差があります。
Q. 脚の筋肉による太さも細くなりますか?
A. 脂肪吸引で減らせるのは皮下脂肪です。筋肉や骨格による太さは変えられないため、診察で原因を見極めたうえでご説明します。
Q. レヌビオンは全員に必要ですか?
A. 全員に必要な治療ではありません。国内未承認の機器であることや、効果の根拠・リスクを確認したうえで、皮膚のたるみの程度に応じて検討します。
Q. いつ頃から仕事に復帰できますか?
A. お仕事の内容や吸引範囲によって異なります。デスクワークであれば1~2週間ほどで復帰を考える方が多いですが、診察時に具体的な目安をご説明します。
14. まとめ
太ももは、内もも・外張り・裏もも・前もも・膝まわりがつながって、ひとつの脚のラインをつくっています。脂肪吸引で自然で美しい脚を目指すには、「どこをどれだけ減らすか」だけでなく、凹みやすい癒着帯を守り、減らす場所と残す場所をなめらかにつなぐデザインが欠かせません。
医学論文からは、脂肪吸引が部分的な輪郭を整える治療として一定の安全性と持続性をもつ一方で、凹凸やたるみ、ほかの部位に脂肪がつく可能性といった限界もあることがわかります。皮膚のたるみが心配な場合は、レヌビオンなどのタイトニング機器の併用も選択肢になりますが、根拠とリスクを理解したうえで検討することが大切です。ご自身の脚の状態に合った方法を、診察で一緒に考えていきましょう。
太ももの脂肪吸引のご相談
吸引範囲・ダウンタイム・リスクまで、診察で丁寧にご説明します。
施術について(必ずお読みください)
・施術内容:VASER(超音波)を用いた大腿部の脂肪吸引(自由診療)。皮膚のたるみの程度に応じて、タイトニング機器(レヌビオン等)を併用する場合があります。
・費用(福岡院・税込):ベイザー脂肪吸引 太もも内側 330,000円/太もも外側 330,000円/太もも前面 275,000円/太もも全周(内側・外側・前側)770,000円(いずれも通常価格。モニター価格は264,000円/264,000円/220,000円/616,000円)。レヌビオンをベイザー脂肪吸引と併用する場合は10cm×10cmあたり330,000円(モニター価格220,000円)。別途、麻酔費用(全身麻酔165,000円、または静脈麻酔の基本セット66,000円)がかかり、BMI25〜30の方は55,000円、30以上の方は110,000円が加算されます。
・ダウンタイム:腫れ・内出血・むくみ・痛みは、数週間から数か月かけて徐々に落ち着きます。仕上がりの完成までは6か月~1年が目安です(個人差があります)。圧迫着の着用期間は診察時にご説明します。
・主なリスク・副作用:腫れ、内出血、痛み、むくみ、拘縮、凹凸、左右差、皮膚のたるみ、知覚低下・しびれ、色素沈着、傷跡、感染、血腫、漿液腫、熱傷、血栓塞栓症、麻酔に伴う合併症など。タイトニング機器を併用する場合は、熱傷、漿液腫、むくみの長期化、一時的な神経痛、たるみの残存などが加わります。
使用機器に関する注意事項
■ VASER(ベイザー)
・未承認医療機器である旨……本記事で触れているVASER脂肪吸引に用いる機器(VASER Lipo System/米国Solta Medical社製)は、日本国内において医薬品医療機器等法(薬機法)上の承認を受けていない未承認医療機器です。
・入手経路……国内の販売代理店を通じて購入しています。
・諸外国における安全性等に係る情報……米国では、VASERlipo Systemが皮下脂肪組織の破砕(審美目的のボディコントアリング)を目的とする医療機器として、米国食品医薬品局(FDA)の510(k)認可を受けています(K190551、2019年)。一方、国内では未承認のため、重大なリスクが明らかになっていない可能性があります。
■ レヌビオン(Renuvion)
・未承認医療機器である旨……本記事で触れているレヌビオン(Renuvion/米国Apyx Medical社製)は、日本国内において医薬品医療機器等法(薬機法)上の承認を受けていない未承認医療機器です。
・諸外国における安全性等に係る情報……米国では、首・あご下の皮膚のたるみの見た目を改善する目的での使用について2022年に、脂肪吸引後の皮下軟部組織の凝固を目的とした使用について2023年に、米国食品医薬品局(FDA)の510(k)認可を受けています。一方でFDAは、審美目的の皮膚の処置に用いた場合に重篤な有害事象の報告があるとして、安全性に関する情報を公表しています[15]。国内では未承認のため、重大なリスクが明らかになっていない可能性があります。
※未承認医療機器を用いる治療は自由診療となり、健康保険は適用されません。万一重篤な副作用が生じた場合、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となることがあります。
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執筆医師
儀間 智和(ぎま ともかず)
GRACIA clinic / 医師
看護師として医療に従事した後、医師へ。脳神経外科で高度医療に携わる中、外見の変化に悩む患者様と向き合った経験から美容医療の本質を実感。現在は脂肪吸引・脂肪注入・糸リフト・埋没二重術を中心に、全身のバランスまで設計する自然で洗練された治療を追求している。
日本美容外科学会/日本脳神経外科学会/日本抗加齢学会/再生医療抗加齢学会 会員|VASER脂肪吸引認定医|RIBXCAR(肋骨リモデリング)認定医|日本医師会認定産業医
※本コラムは一般向けに医学情報を整理したものです。効果・経過には個人差があり、適応・手術方法・吸引範囲・回復経過は診察により異なります。脂肪吸引は自由診療です。