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2026.10.29

  • 脂肪吸引
樋口 隆男

修正脂肪吸引(Revision Liposuction)で、私が最初に確認する5項目

GRACIAの医学知識データベース|脂肪吸引・修正手術

――修正方法を考える前に、診察で何を確認し、どう優先順位をつけるか。

脂肪吸引後の凹凸、左右差、取り残し、皮膚のたるみ。こうした悩みに対する修正治療を、修正脂肪吸引(Revision Liposuction)と呼びます。

修正という言葉から、「残っている脂肪をもう一度取る手術」をイメージする方もいるかもしれません。しかし、実際に検討する治療は、追加の脂肪吸引だけではありません。脂肪注入、癒着への処置、余剰皮膚の切除など、原因によって選択肢は変わります。

私が修正方法を考える前に整理するのは、何が起きているのか、組織がどのような状態なのか、そして患者様が何を改善したいのかという点です。

見た目が似ている凹凸でも、原因が同じとは限りません。だからこそ、治療方法を決める前の診察が重要になります。

文・監修:樋口 隆男(GRACIA AESTHETICS 理事長)

最初に確認する5項目

・前回の手術内容と、術後の経過
・患者様が最も困っていることと、改善の目標
・凹凸や左右差をつくっている原因
・皮膚・皮下組織の厚み、可動性、たるみ
・再手術の安全性と、改善できる範囲

これらは一つずつ独立して判断する項目ではありません。それぞれの情報を重ね合わせ、修正の必要性、時期、方法を考えます。

① 前回の手術内容と、術後の経過

まず確認するのは、いつ、どの部位に、どのような手術を受けたかです。

吸引範囲、使用した機器、脂肪注入や引き締め治療の併用、過去の修正回数などを伺います。可能であれば、術前写真や手術記録も参考にします。

ただし、機器名や吸引量だけで、現在の状態を説明できるわけではありません。重要なのは、手術の情報と、今の身体の状態がどう結びつくかです。

同時に、気になる変化がいつ現れたかを確認します。手術直後から存在したのか、腫れが引くにつれて目立ってきたのか。硬さや引きつれは改善しているのか、変わらないのか。時間とともにどう変化しているかは、判断に欠かせません。

脂肪吸引後には、腫れや組織の硬さが残る時期があります[1]。文献では、術後の腫れは圧迫着衣の使用とともに数週間かけて軽減し、硬さは6〜8週ほどで徐々にやわらぎ、範囲によっては3か月ほどで組織が本来の柔らかさに近づくとされています[2]。その段階に至る前に、見えている凹凸を最終的な仕上がりと判断することはできません。

私が「もう触ってよい」と判断する基準

形の修正を目的とする再手術では、前回の手術から少なくとも6か月待つことを勧める文献があります。皮膚のたるみが主体の場合には、皮膚本来の弾性が働く時間を確保するため、6か月から1年待つことが勧められています[2]。

ただし私は、この期間そのものを基準にはしていません。実際に確認しているのは、次の3点です。

・組織の硬さが消失していること。触診で、線維化による硬さが残っていないか。
・皮膚の可動性が回復していること。皮膚が深部組織の上を滑るように動くか。
・エコー所見。皮下組織の層構造や、瘢痕・液体貯留の有無を画像で確認します。

期間はあくまで目安です。同じ6か月でも、組織の状態は人によって異なります。触診と画像の両方で落ち着きを確認できて初めて、修正の計画を立てます。

なお、赤みや熱感、発熱、急に増える腫れ、強くなる痛みがある場合には、感染や液体の貯留などの評価が先になります。形の修正を待つことと、異常の診察を待つことは別です。

② 患者様が最も困っていることと、改善の目標

次に確認するのは、患者様が何を一番改善したいと感じているかです。

「凹凸が気になる」という言葉でも、悩みの内容は異なります。

立っているときに見えるくぼみなのか、座るとできるしわなのか。触ったときの硬さなのか、動いたときの引きつれなのか。服を着たときの左右差が気になる場合もあります。

ここを具体的にしないまま手術を考えると、医師が整えたい部分と、患者様が改善してほしい部分がずれてしまいます。

たとえば、患者様の希望が「くぼみを目立たなくしたい」であれば、ボリュームを補う方法が候補になります。一方、「全体をさらに細くしたい」という希望が同時にある場合には、その二つをどこまで両立できるかを検討しなければなりません。

そして、この段階でお伝えしておきたいことがあります。修正手術で、完全に元通りの状態に戻ることはありません。一度手術を受けた組織は、瘢痕や線維化を含んだ状態に変化しているためです。

だからこそ、どこまでの改善を目指すのか、どこで折り合いをつけるのかを、手術の前に具体的に共有します。「凹凸を改善する」とだけ決めるのではなく、どの姿勢で、どの部分の、どのような見え方を改善したいのか。そこまで確認して、治療の優先順位をつけます。

③ 凹凸や左右差をつくっている原因

修正の診察で特に重要なのが、ふくらみやくぼみの原因を分けることです。

ふくらんで見える部分に、脂肪が多く残っているとは限りません。隣の部分が薄くなっているため、相対的に高く見えている場合もあります。

くぼみについても、脂肪の不足、皮膚と深部組織の癒着、皮膚の余りなど、複数の要因を考える必要があります。

私の診察の進め方

原因を分けるために、私は次の順序で身体を診ます。

・立位での観察。重力がかかった状態で、輪郭と左右差を確認します。
・皮膚のつまみ上げと引き伸ばし。つまんだときの厚みと、引き伸ばしたときに凹凸が消えるかどうかを見ます。
・関節の可動域の確認。癒着や瘢痕が動きを制限していないかを確かめます。
・動的評価。曲げる、伸ばす、捻る。実際に動かしていただき、どの動作で何が現れるかを見ます。

静止した立位だけでは、原因を分けきれません。皮膚を引いたときに消える凹凸と、動かしたときに現れる凹凸は、まったく別の問題です。

所見と原因の対応

・局所的なふくらみ
 確認する主な原因:残存脂肪、周囲のくぼみ、腫れや漿液腫(セローマ)

・局所的なくぼみ
 確認する主な原因:脂肪の不足、癒着による引き込み

・波打つような凹凸
 確認する主な原因:脂肪の厚みの差、線維化、皮膚の余り

・動くと目立つ引きつれ
 確認する主な原因:深部組織との癒着、皮膚の可動性の低下

・左右差
 確認する主な原因:脂肪分布の差、術前からの骨格・筋肉・姿勢の違い

・帯状の溝・限局した陥凹
 確認する主な原因:圧迫着衣の不適合や姿勢による圧迫

この一覧は診断を確定するものではなく、原因を整理するための視点です。実際には、複数の問題が同じ部位に重なっていることもあります。なお、最後の項目は見落とされやすい原因です。適合しない圧迫着衣や不適切な姿勢そのものが、溝や陥凹をつくることが報告されています[2]。

陥凹の3つの見分け方

文献では、陥凹の原因を体位と筋収縮で鑑別する方法が示されています[2]。私の診察の順序も、この方法に沿っています。

・仰臥位でも、皮膚を引いても消えない
 推定される原因:浅い層の取りすぎ(回復が難しい)

・筋肉を収縮させると深くなる
 推定される原因:深部組織との線維性癒着

・仰臥位で改善し、皮膚を引くと明らかに改善
 推定される原因:皮膚の余り

高く見える部分をすべて吸引する前に、低くなっている部分がないかを確認する。この視点が、修正でさらに組織を減らしすぎないために重要です。

④ 皮膚・皮下組織の厚み、可動性、たるみ

原因を整理したうえで、修正を行う組織の状態を確認します。

一度手術を受けた部位には、瘢痕や線維化が生じていることがあります。線維化とは、治癒の過程で線維性の組織が増え、硬さなどを生じる変化です。癒着は、組織同士がくっついて動きにくくなっている状態を指します。

診察では、皮膚の厚み、残っている皮下組織の厚み、硬さ、滑りやすさ、引いたときの抵抗などを確認します。

ピンチテストで皮膚と皮下組織をつまむ際も、厚みだけでは判断しません。硬い組織が厚く触れているのか、脂肪が残っているのか、皮膚が余って折り重なっているのかを考えます。

そのうえで、追加の吸引を検討するかどうかは、次の3点を組み合わせて判断しています。ピンチテストでの厚みが1.5cm以上あること、凹みの深さ、そして皮膚の質感です。厚みが十分にあり、皮膚の質が保たれていれば、追加吸引が選択肢になります。逆に、厚みが足りない部位で「まだつまめるから」と吸引を重ねれば、修正のはずが新たな陥凹をつくることになります。

また、皮膚のたるみが強い場合には、脂肪の厚みを調整するだけでは表面の波打ちが十分に改善しないことがあります。脂肪吸引後の輪郭不整では、残存脂肪、脂肪の不足、皮膚の余りを区別して治療を考える必要があります[3]。

筋肉量や骨格、実年齢、体重の変化も合わせて確認します。修正できる範囲は、現在の皮膚と皮下組織がどのような状態にあるかによって変わるからです。

⑤ 再手術の安全性と、改善できる範囲

最後に、ここまでの情報をもとに、再手術を行う利益と負担を評価します。安全性に関わる問題があれば、この項目が最優先になります。

確認するのは、局所の状態だけではありません。既往歴、服薬、喫煙、過去の麻酔や手術での問題なども含め、全身状態を評価します。

そのうえで、原因に応じた方法を検討します。文献でも、輪郭の不整のみか、臍下の皮膚のたるみを伴うか、臍上下ともにたるみがあるかによって、治療計画を段階的に分ける方法が示されています[4]。

癒着への処置——剥離したら、必ず入れる

癒着がある場合には、フェザーリング、リゴトミー、超音波を用いた機器などを、状況に合わせて使い分けます。目的は、浅い層にできたボコつきを平らに整えることです。

ここで私が原則にしていることがあります。癒着を剥離した部位には、必ず脂肪を注入する。剥離しただけで空間を残せば、その面は再び癒着しやすくなります。剥離と充填は一組の操作であり、切り離して考えていません。

脂肪注入の方針

修正での脂肪注入は、皮下の浅い層の脂肪として入れます。量は凹みの範囲によりますが、50cc以上になることが多く、定着率を30〜50%と見込んで、定着したあとの形から逆算して注入量を決めます。

2回目の注入を行う場合は、3〜6か月以降です。このとき考慮しているのは、一度手術を受けた部位が通常の脂肪組織ではなく、線維組織に置き換わっているという点です。線維組織の中では脂肪の定着が落ちます。そのぶんを見込んで注入量を推測します。

脂肪注入は、一度で完結する治療とは限りません。段階的な治療が必要になる可能性を、あらかじめお伝えしています。

触らない、という判断

修正で最も慎重になるのは、皮膚が薄い部位です。

皮膚が薄くなっている部位では、癒着の剥離を慎重に行います。器具による積極的な剥離は行わず、チュメセント(麻酔液の注入)による剥離にとどめることがあります。ここで無理に剥離を進めれば、皮膚の血流や厚みに影響が出かねません。

そして、繰り返しになりますが、完全に元通りになることはありません。だからこそ、患者様の希望とのすり合わせを行い、どこを妥協点とするかを決めたうえで手術に進みます。「できること」と同じだけ、「しないほうがよいこと」を説明することが、修正手術では重要だと考えています。

手術以外の選択肢

すべての凹凸に、すぐ再手術が必要なわけではありません。文献では、腫れの均一な軽減や輪郭の改善を目的としたリンパドレナージや外用の超音波、線維化に対するトリアムシノロンや5-フルオロウラシルの局所注射、術中に生じた陥凹に対するliposhiftingといった方法が挙げられています[2]。

ただし、「追加吸引をすれば必ずなめらかになる」「脂肪を入れれば一度で元に戻る」とは言えません。修正には、すでに変化した組織を扱う難しさがあります。改善が期待できる部分と、残る可能性がある部分。その両方を説明し、追加の傷や回復期間も含めて判断します。

診察では、どのように優先順位をつけるのか

私が修正の方針を考える際には、まず治療を急ぐ問題がないかを確認します。次に、組織が修正を検討できる状態まで落ち着いているかを判断します。

その後で、患者様の最も強い悩みと、診察で確認できた原因を結びつけます。

優先順位は、次のようになります。

・安全性に関わる問題を評価する。
・術後経過を確認し、修正の時期を判断する。
・主な悩みと、その原因を一致させる。
・残っている組織を踏まえて、治療の範囲を決める。
・改善の目標と限界を共有する。

たとえば、くぼみの周囲が高く見えていても、周囲の脂肪を減らすことが最善とは限りません。くぼみを補うほうが、全体の形を整えやすい場合があります。

反対に、皮膚の余りが大きく関係している場合には、脂肪を補うだけでは希望に応えられないこともあります。見えている凹凸と、治療すべき原因を丁寧に対応させる必要があります。

修正の経験が、初回の手術を変えた

修正を担当するようになって、自分の初回手術のやり方が変わりました。

最も大きな変化は、浅層の脂肪を吸引しなくなったことです。修正で診る陥凹のうち、仰臥位でも皮膚を引いても消えないもの——つまり回復が難しいものは、浅い層を取りすぎた結果であることが多い。文献にも「手術台の上の欠損は、永遠に欠損である」という言葉が引かれています[2]。この一文の意味を、修正の診察を重ねるほど実感しています。

もう一つの変化は、予測の精度です。癒着や凹みがこの程度であれば、どのくらい注入すればどのくらい定着するか。おおよその見当がつくようになりました。これは症例を重ねてはじめて得られる感覚で、修正を診てこなければ身につかなかったと思います。

取りすぎない初回手術と、原因を見極める修正手術は、別々の技術ではありません。同じ判断の、表と裏です。

修正手術の出発点は、原因を見極めること

修正脂肪吸引では、治療方法を選ぶ前に、前回の手術から現在までの経過を理解することが必要です。

そのうえで、患者様の悩み、凹凸の原因、皮膚と皮下組織の状態、安全性を整理します。

私が大切にしたいのは、今ある組織を評価し、どこを減らし、どこを補い、どこは触らないほうがよいかを考えることです。

修正を希望される方は、不安と期待の両方を抱えていると思います。その気持ちを受け止めながら、何が改善できるのか、どこに限界があるのかを具体的にお伝えする。その対話から、修正治療を始めたいと考えています。

リスク・副作用について

脂肪吸引を伴う修正手術には、腫れ、内出血、痛み、感覚の変化、凹凸や左右差の残存・悪化、色素沈着、漿液腫、血腫、感染、創傷治癒不全、深部静脈血栓症や肺塞栓症などの血栓性合併症、麻酔に伴うリスクなどがあります[5]。

脂肪注入を併用する場合には、注入した脂肪の定着不良や吸収、しこり(硬結)、嚢胞や石灰化の形成、注入部位の感染、まれに脂肪塞栓などのリスクが加わります。修正では、一度で十分な改善が得られず、複数回の治療が必要になる可能性があります。

選択する治療ごとのリスクと回復の見通しについては、診察時に個別にご説明します。

費用について(税込・自由診療)

・GRACIA clinic(福岡院):他院修正・他院凸凹・取りムラ修正(脂肪吸引のみ)330,000円/他院修正・他院凸凹・取りムラ修正(脂肪吸引+脂肪注入)550,000円(いずれも通常価格)。

・Casa de GRACIA GINZA(銀座院):他院修正・他院凸凹・取りムラ修正(脂肪吸引のみ)330,000円/他院修正リゴトミー(手のひら1枚分)110,000円/他院修正リゴトミー(手のひら半枚分)55,000円(いずれも通常価格)。

上記以外の費用は、各院の料金表をご確認ください。別途、麻酔費用(全身麻酔165,000円、または静脈麻酔の基本セット66,000円〈麻酔代・内服薬・サポーター〉)がかかります。

本記事で扱う修正脂肪吸引・脂肪注入は自由診療であり、公的医療保険の適用外です。

参考文献

1. American Society of Plastic Surgeons. Liposuction Recovery. https://www.plasticsurgery.org/cosmetic-procedures/liposuction/recovery
2. Dixit VV, Wagh MS. Unfavourable outcomes of liposuction and their management. Indian J Plast Surg. 2013;46(2):377-392. https://doi.org/10.4103/0970-0358.118617
3. Ferry AM, Chamata E, Dibbs RP, Rappaport NH. Avoidance and Correction of Deformities in Body Contouring. Semin Plast Surg. 2021;35(2):110-118. https://doi.org/10.1055/s-0041-1727207
4. Pereira LH, Sterodimas A. Treatment of iatrogenic abdominal contour irregularities. Aesthetic Plast Surg. 2010;34(2):129-135. https://doi.org/10.1007/s00266-008-9233-8
5. American Society of Plastic Surgeons. Liposuction Safety. https://www.plasticsurgery.org/cosmetic-procedures/liposuction/safety

関連記事:「1万例以上の脂肪吸引経験から考える、「取りすぎない脂肪吸引」」(脂肪吸引・適応とデザイン)

執筆医師

樋口 隆男(ひぐち たかお)
GRACIA AESTHETICS 理事長 / GRACIA 総院長

福岡大学医学部を卒業後、呼吸器外科医として肺移植を含む呼吸器外科手術に携わる。オーストラリア・アルフレッド病院へのクリニカル・リサーチフェローとしての留学を経て博士号を取得し、国立病院の呼吸器外科部長を務めた後、美容外科の道へ。2019年にGRACIA clinic(福岡院)、2022年にCasa de GRACIA GINZA(銀座院)を開院。脂肪吸引・豊胸・たるみ治療・肋骨リモデリングを中心に、長年の手術経験と全身管理の視点を活かした治療を行っている。

日本外科学会/日本形成外科学会/日本美容皮膚科学会/日本美容外科学会(JSAPS)/日本美容外科学会(JSAS)/日本抗加齢学会 会員|日本外科学会専門医|コンデンスリッチファット療法認定医|RIBXCAR認定医|VASER Lipo認定医|Total Definer by Alfredo Hoyos認定医|Aesthetic Xpert Asia 代表理事

※本コラムは一般向けに医学情報を整理したものです。効果・経過には個人差があり、適応・手術方法・回復経過は診察により異なります。修正脂肪吸引・脂肪注入は自由診療です。

written by

GRACIA理事長 / 総院長

樋口 隆男

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