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2026.09.19

  • 脂肪吸引
村上 大悟

美容外科医が本当に解説する顔の脂肪吸引完全ガイド:第8章 ベイザー脂肪吸引(VASER Liposuction)とは

【連載目次】美容外科医が本当に解説する顔の脂肪吸引完全ガイド

第1章 顔の脂肪吸引とは何か
第2章 顔が大きく見える本当の原因
第3章 顔面解剖学から理解する顔の脂肪吸引
第4章 顔の老化と脂肪の役割
第5章 適応・適応外
第6章 術前診察で美容外科医が見ているポイント
第7章 デザイン理論
第8章 ベイザー脂肪吸引とは
第9章 実際の手術
第10章 ダウンタイム
第11章 合併症
第12章 他施術との違い
第13章 症例ごとの治療戦略
第14章 FAQ
第15章 Casa de GRACIA GINZA が目指す輪郭形成

超音波技術が変えた脂肪吸引の進化と、美容外科医が知っておくべき本質

この記事のポイント
・ベイザー脂肪吸引(VASER Liposuction)は、超音波エネルギーを利用して脂肪組織へ選択的に作用させる脂肪吸引システムです。
・従来の脂肪吸引とは使用するエネルギーや手術プロセスが異なりますが、最終的な仕上がりは術者の診断・デザイン・手技にも大きく左右されます。
・「ベイザーだから必ず美しく仕上がる」のではなく、適応を見極め、解剖学に基づいて適切に使用することが重要です。

はじめに

近年、「ベイザー脂肪吸引」という名称を目にする機会が増えています。
美容医療では、従来の脂肪吸引よりも体への負担が少ない、あるいは仕上がりが良いと紹介されることがあります。
しかし、「ベイザー」という言葉だけが一人歩きし、その仕組みや適応について正確に理解されないまま説明されているケースも少なくありません。
ベイザーは、あくまでも脂肪吸引を補助する医療機器です。
どのような患者様に適しているのか、どのような特徴があるのかを理解したうえで使用することが重要です。

ベイザーとは何か

VASERは Vibration Amplification of Sound Energy at Resonance の略称です。
専用のプローブから発生する超音波エネルギーを利用し、チュメセント液を十分に浸潤させた脂肪層で脂肪組織を乳化・遊離し、その後カニューレで吸引するという手順で行われます。
超音波エネルギーは脂肪組織に作用しますが、周囲には線維組織や血管、神経なども存在するため、適切な層で、適切な出力・時間・操作を行うことが重要です。

ベイザー脂肪吸引の手術手順

顔のベイザー脂肪吸引は、一般的に以下のような流れで行われます。

1. デザイン(マーキング)

術前診察で決定したデザインに基づき、吸引範囲や移行部、脂肪を温存する部位をマーキングします。

2. チュメセント液の注入

局所麻酔薬や血管収縮薬などを含むチュメセント液を皮下脂肪層へ注入します。
この工程には、疼痛の軽減、出血の抑制、脂肪層の展開など、手術を安全に進めるための重要な役割があります。

3. 超音波エネルギーによる処置

VASERプローブを適切な層に挿入し、脂肪組織へ超音波エネルギーを作用させます。
ここでは「力任せに脂肪を壊す」のではなく、均一で丁寧な操作が求められます。

4. 脂肪吸引

遊離した脂肪を細いカニューレで吸引し、フェイスライン全体のバランスを確認しながら輪郭を整えます。

5. 最終確認

左右差や輪郭の連続性を確認し、必要に応じて微調整を行います。

従来の脂肪吸引との違い

従来の脂肪吸引では、カニューレを用いて脂肪を機械的に吸引することが基本となります。
一方、ベイザーでは超音波エネルギーを補助的に利用し、その後に吸引を行います。
ただし、「どちらが絶対に優れている」という単純な比較はできません。
患者様の状態や術者の経験、治療目的によって、適切な方法は異なります。

ベイザー脂肪吸引のメリット

適切な症例では、ベイザーを使用することで次のような利点が期待されます。

・線維性の強い部位でも操作しやすい場合がある
・繊細な輪郭デザインに対応しやすい場合がある
・細いカニューレを用いた丁寧な吸引と組み合わせやすい

ただし、これらは術式や患者様の状態、術者の手技によって異なり、すべての症例に同じ結果が得られるわけではありません。

ベイザー脂肪吸引の限界

ベイザーは優れた医療機器ですが、万能ではありません。

例えば、

・骨格が原因で輪郭が広く見える場合
・咬筋肥大が主体の場合
・皮膚のたるみが強い場合

には、ベイザー脂肪吸引だけでは十分な改善が得られないことがあります。
また、機器を使用しても、過剰な吸引や不適切な層での操作を行えば、凹凸や左右差、不自然な輪郭につながる可能性があります。
そのため、機器の性能だけでなく、適応判断とデザイン、解剖学的知識、術者の経験が極めて重要です。

顔のベイザー脂肪吸引で特に重要なこと

顔は体幹部に比べて脂肪層が薄く、神経や血管、SMASなどの重要な構造が密集しています。

そのため、顔のベイザー脂肪吸引では、

・正しい解剖学的層を維持すること
・エネルギーを過度に加えないこと
・左右差を常に確認すること
・適切な吸引量を守ること

が、安全性と自然な仕上がりを左右します。
顔では「たくさん取ること」よりも、「立体感を保ちながら整えること」が重要です。

ベイザー脂肪吸引は機械ではなく「道具」

美容医療では、「最新機器=最高の結果」と考えられることがあります。
しかし、実際には、どれほど優れた機器であっても、それだけで理想的な輪郭が生まれるわけではありません。
ベイザーは、美容外科医が輪郭形成を行うための一つのツールです。

その性能を最大限に引き出すためには、

・正確な診断
・解剖学に基づくデザイン
・適切な術式の選択
・丁寧な手技
・術後管理

が不可欠です。
機器そのものではなく、それをどのように使いこなすかが、美しい結果につながります。

Casa de GRACIA GINZAが考えるベイザー脂肪吸引

私たちは、ベイザーを「脂肪を多く取るための機械」とは考えていません。
輪郭形成において重要なのは、患者様それぞれの骨格や脂肪の分布、皮膚の状態、加齢変化を総合的に評価し、その方に最適なデザインを実現することです。
ベイザーは、その設計図を実現するための一つの選択肢です。
だからこそ、術前診断から術後フォローまで一貫した診療を行い、自然で長期的に満足いただける輪郭形成を目指しています。

まとめ

ベイザー脂肪吸引は、超音波エネルギーを活用した脂肪吸引システムであり、適切な症例では輪郭形成を補助する有用な選択肢となります。
一方で、最終的な結果は機器だけで決まるものではありません。
美容外科医による適切な診断、解剖学に基づくデザイン、丁寧な手術操作、そして術後管理までを含めて、初めて安全で自然な仕上がりが目指せます。
Casa de GRACIA GINZAでは、機器に依存するのではなく、医学的根拠と解剖学的理解に基づいた輪郭形成を大切にしています。

次章予告

第9章では、「顔の脂肪吸引の手術手技」をテーマに、カニューレの選択、エントリーポイント(耳垂下・顎下など)の考え方、吸引層、クロストンネルテクニック、左右差への対応、術中評価など、実際のオペで美容外科医がどのような点に注意しているのかを、より専門的な視点から詳しく解説します。

written by

医師

村上 大悟

DAIGO MURAKAMI

18年にわたり心臓・呼吸器を中心に幅広い手術を経験し、「低侵襲手術」を追求してきました。培った技術と判断力を活かし、科学的根拠に基づいた確かな美容医療で、理想の美を追求します。ぜひお気軽にご相談ください。

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