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2026.08.19

  • 脂肪吸引
村上 大悟

美容外科医が本当に解説する顔の脂肪吸引完全ガイド:第4章 顔の老化と脂肪の役割

【連載目次】美容外科医が本当に解説する顔の脂肪吸引完全ガイド

第1章 顔の脂肪吸引とは何か
第2章 顔が大きく見える本当の原因
第3章 顔面解剖学から理解する顔の脂肪吸引
第4章 顔の老化と脂肪の役割
第5章 適応・適応外
第6章 術前診察で美容外科医が見ているポイント
第7章 デザイン理論
第8章 ベイザー脂肪吸引とは
第9章 実際の手術
第10章 ダウンタイム
第11章 合併症
第12章 他施術との違い
第13章 症例ごとの治療戦略
第14章 Casa de GRACIA GINZA が目指す輪郭形成
第15章 FAQ

「脂肪を取れば若返る」は本当か? 最新の美容外科学から考える輪郭形成

この記事のポイント
・顔の老化は「皮膚のたるみ」だけではなく、骨格・脂肪・SMAS・靱帯・皮膚が複合的に変化することで起こります。
・脂肪は単純に増えるのではなく、「減る部位」と「下垂する部位」があり、顔全体の立体構造が変化します。
・若々しい輪郭を維持するためには、脂肪を減らすだけでなく、「残すべき脂肪」を見極めることが重要です。
・顔の脂肪吸引は、加齢変化を理解したうえで行うことで、より自然で長期的な仕上がりを目指せます。

はじめに

「年齢とともにフェイスラインがぼやけてきた」「若い頃より顔が大きく見える」「二重顎が気になるようになった」。
このようなお悩みは、年齢を重ねるにつれて多くの方が感じる変化です。

以前は、これらの変化は「皮膚がたるんだから」と説明されることが少なくありませんでした。
しかし、近年の顔面解剖学や美容外科学の研究では、顔の老化は単一の原因では説明できないことが明らかになっています。

骨格、脂肪、SMAS、リテイニングリガメント、皮膚など、それぞれの組織が異なる速度で変化し、その積み重ねによって現在の顔立ちが形作られます。
つまり、老化は「一つの組織の変化」ではなく、「顔全体の立体構造の再構築」と考えるべき現象なのです。

顔の老化は五つの要素が重なって起こる

美容外科では、顔の老化を次の五つの要素で考えます。

1. 骨格の変化
2. 脂肪コンパートメントの変化
3. SMAS・支持組織の変化
4. リテイニングリガメント周囲の変化
5. 皮膚の加齢変化

これらは互いに影響し合いながら進行するため、一つだけを改善しても理想的な若返りが得られるとは限りません。

骨格も加齢とともに変化する

顔の骨は、一生同じ形を保つわけではありません。
加齢とともに、眼窩や鼻の開口部は広がり、上顎骨や下顎骨では一部に骨吸収が起こることが知られています。
その結果、軟部組織を支える土台が変化し、頬や口元の組織が下方へ移動しやすくなります。

特に顎先の支持性が低下すると、フェイスラインが不明瞭になり、顎下のもたつきが目立ちやすくなります。
このような骨格の変化は脂肪吸引だけで改善できるものではなく、必要に応じてヒアルロン酸による輪郭形成などを組み合わせることがあります。

脂肪は「増える」のではなく「変化する」

「年齢を重ねると顔に脂肪がつく」というイメージを持つ方は少なくありません。
実際には、加齢による顔の変化は、脂肪量が一様に増えるというよりも、「部位ごとの萎縮」と「位置の変化」が重なって起こります。

中顔面では脂肪が減少し、頬のふくらみが失われる一方で、下顔面では重力や支持組織の変化によって脂肪が下方へ移動し、ジョールやフェイスラインにボリュームが集まって見えることがあります。
その結果、若い頃の逆三角形の輪郭から、四角い輪郭へと印象が変化していきます。

Volume Loss Theory とは

近年の美容外科学では、「Volume Loss Theory(ボリュームロス理論)」が若返り治療の重要な考え方となっています。
これは、顔が老けて見える主な原因の一つは、加齢に伴うボリュームの減少であるという考え方です。

頬やこめかみなど、本来ふくらみがある部位のボリュームが失われることで、陰影が強調され、疲れた印象ややつれた印象につながります。
そのため、若返り治療では「減らす」だけでなく、「補う」という視点も重要です。

顔の脂肪吸引を計画する際にも、この理論を理解し、将来の加齢変化まで考慮したデザインが求められます。

SMAS と支持組織の変化

SMASは皮膚や皮下脂肪を支える重要な支持構造です。
若い頃は、SMASが軟部組織を適切な位置に保っています。

しかし、加齢とともにSMASの支持力が低下すると、頬の脂肪や皮膚が徐々に下方へ移動し、フェイスラインのぼやけやジョール形成の一因となります。
たるみが主体の場合には、脂肪吸引だけでなく、SMASへアプローチする治療を検討することが適切なケースもあります。

リテイニングリガメントと輪郭の変化

顔面には、皮膚やSMASを骨や深部組織へ固定するリテイニングリガメントが存在します。
若い頃は、この支持構造によって輪郭が保たれています。

一方で加齢が進むと、固定されている部位と可動性の高い部位との境界が目立ちやすくなり、ジョールやマリオネットラインの形成につながります。
この変化は、脂肪量だけでは説明できない加齢現象の一つです。

「脂肪を多く取れば若返る」は誤解

美容外科では、「たくさん脂肪を取ってほしい」というご希望をいただくことがあります。
しかし、若々しい顔には適度なボリュームが存在します。
頬の脂肪を過剰に除去すると、骨格や筋肉の輪郭が強調され、やつれた印象や老けた印象につながることがあります。

特に40代以降では、もともとボリュームロスが進行している場合も多く、「どれだけ取るか」よりも「どこを残すか」が仕上がりを左右します。
自然な若々しさを保つためには、必要な脂肪を温存しながら、輪郭を乱す脂肪のみを選択的に減量することが重要です。

年齢によって治療戦略は変わる

20代では、皮膚の収縮力が比較的高く、皮下脂肪が輪郭に与える影響も大きいため、脂肪吸引単独で十分な改善が期待できることがあります。

一方、40代以降では、皮膚やSMASの変化、骨格の支持性の低下などが重なっていることが多く、糸リフトやフェイスリフト、ヒアルロン酸注入などを組み合わせることで、より自然な結果が得られる場合があります。

重要なのは、年齢だけで判断するのではなく、その方の解剖学的特徴や加齢変化を総合的に評価することです。

Casa de GRACIA GINZA が考える若返りと輪郭形成

私たちは、顔の脂肪吸引を「脂肪を減らす手術」とは考えていません。
目指しているのは、その方が本来持つ骨格や表情の美しさを生かしながら、長期的にも自然な輪郭を設計することです。

そのためには、加齢による変化を理解し、脂肪を取るべき部位と残すべき部位を慎重に見極める必要があります。
若返りとは、単純にボリュームを減らすことではなく、顔全体の調和を回復することです。
輪郭形成もまた、その考え方の延長線上にあります。

まとめ

顔の老化は、骨格・脂肪・SMAS・リテイニングリガメント・皮膚が複合的に変化することで起こります。

そのため、顔の脂肪吸引は単に脂肪を除去する手術ではなく、加齢変化を理解したうえで輪郭全体をデザインする治療です。
Casa de GRACIA GINZAでは、現在の輪郭だけでなく、将来の変化まで見据えた診断とデザインを重視し、一人ひとりに適した輪郭形成をご提案しています。

次章予告

第5章では、「顔の脂肪吸引が向いている方・向いていない方」をテーマに、適応と適応外の判断基準、カウンセリングで重視するポイント、BMIや皮膚の収縮性、ピンチテスト、骨格やたるみの評価など、美容外科医が実際の診察でどのように治療方針を決定しているのかを詳しく解説します。

written by

医師

村上 大悟

DAIGO MURAKAMI

18年にわたり心臓・呼吸器を中心に幅広い手術を経験し、「低侵襲手術」を追求してきました。培った技術と判断力を活かし、科学的根拠に基づいた確かな美容医療で、理想の美を追求します。ぜひお気軽にご相談ください。

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