2026.10.31
- 脂肪吸引

美容外科医が本当に解説する顔の脂肪吸引完全ガイド:第12章 顔の脂肪吸引と他の輪郭形成治療の違い
【連載目次】美容外科医が本当に解説する顔の脂肪吸引完全ガイド
第1章 顔の脂肪吸引とは何か
第2章 顔が大きく見える本当の原因
第3章 顔面解剖学から理解する顔の脂肪吸引
第4章 顔の老化と脂肪の役割
第5章 適応・適応外
第6章 術前診察で美容外科医が見ているポイント
第7章 デザイン理論
第8章 ベイザー脂肪吸引とは
第9章 実際の手術
第10章 ダウンタイム
第11章 合併症
第12章 他施術との違い
第13章 症例ごとの治療戦略
第14章 Casa de GRACIA GINZAが目指す輪郭形成
第15章 FAQ
美容外科医が考える「治療の選び方」と「組み合わせ方」
この記事のポイント
・顔の脂肪吸引は、皮下脂肪を減らして輪郭を整える外科的治療です。
・糸リフト、ヒアルロン酸、ジョールファット切除、バッカルファット除去、エネルギーデバイス(HIFU・RFなど)は、それぞれ作用する組織や目的が異なります。
・重要なのは「どの治療が一番優れているか」ではなく、「どの治療が現在の状態や目標に適しているか」を見極めることです。
はじめに
「脂肪吸引を受ければ、小顔になりますか?」
「糸リフトだけで十分でしょうか?」
「HIFUでは改善しませんか?」
美容外科の診察では、このようなご相談を数多くいただきます。
現在は輪郭形成の選択肢が増えた一方で、それぞれの治療がどのような目的で行われるのかが分かりにくくなっています。
実際には、これらの治療は互いに競合するものではなく、作用する組織や目的が異なるため、適切な適応判断や組み合わせが重要です。
顔の脂肪吸引とは
顔の脂肪吸引は、皮下脂肪を減量することでフェイスラインや顎下の輪郭を整える外科的治療です。
皮下脂肪が主な原因で輪郭がぼやけて見える方では、有力な選択肢となります。
一方で、骨格や筋肉の発達、皮膚のたるみが主な原因である場合には、脂肪吸引だけでは十分な改善が得られないこともあります。
糸リフトとの違い
糸リフトは、皮下に特殊な医療用の糸を挿入し、組織を持ち上げることで輪郭の改善を目指す治療です。
主な目的
・フェイスラインのリフトアップ
・軽度〜中等度のたるみ改善
・下顔面の輪郭調整
脂肪吸引は「脂肪量」に、糸リフトは「組織の位置」にアプローチするため、適応が異なります。
皮下脂肪が多く、さらに軽度のたるみを伴う症例では、両者を組み合わせることで、それぞれの要素にアプローチできる場合があります。
ジョールファット治療との違い
ジョールファットは、口角の外側からフェイスライン付近に位置する脂肪コンパートメントです。
加齢に伴い下垂すると、フェイスラインが重たく見えたり、いわゆるマリオネットライン周囲の印象に影響したりすることがあります。
このような場合には、脂肪吸引だけではなく、ジョールファットへのアプローチやリフトアップ治療を組み合わせることで、より自然な輪郭形成につながることがあります。
重要なのは、「脂肪がある」のか、「脂肪が下がっている」のかを診断で見極めることです。
バッカルファット除去との違い
バッカルファットは、頬の深部に存在する脂肪体であり、皮下脂肪とは位置も役割も異なります。
そのため、顔の脂肪吸引では通常、バッカルファット自体を除去することはありません。
バッカルファット除去は、中顔面から下顔面にかけてのボリューム感や将来的なたるみとの関連を考慮して適応を判断する必要があります。
近年では、過度な除去による頬のこけや加齢変化への影響も議論されており、年齢や骨格、顔全体のバランスを踏まえた慎重な診断が求められます。
ヒアルロン酸との違い
ヒアルロン酸注入は、「ボリュームを補う」治療です。
例えば、
・顎を前方へ整える
・フェイスラインの連続性を補正する
・オトガイの形態を調整する
などに用いられます。
一方、顔の脂肪吸引は「余分な皮下脂肪を減らす」治療です。
つまり、一方は「足す治療」、もう一方は「引く治療」であり、目的が異なります。
患者様によっては、脂肪吸引で輪郭を整えた後にヒアルロン酸で顎先やフェイスラインを補正することで、より調和のとれた横顔を目指せる場合があります。
HIFU・RFなどのエネルギーデバイスとの違い
HIFU(高密度焦点式超音波)やRF(高周波)は、主に皮膚や皮下組織へ熱エネルギーを加え、引き締めを目的として用いられる治療です。
これらは、軽度のたるみや皮膚の引き締めが主な目的であり、脂肪吸引とは作用機序が異なります。
皮下脂肪が主な原因で輪郭がぼやけている場合には、エネルギーデバイスだけでは十分な改善が得られないことがあります。
一方で、脂肪吸引後の皮膚の状態や加齢変化に応じて、エネルギーデバイスを補助的に活用することが適している症例もあります。
ボトックスとの違い
エラが張って見える原因が咬筋の発達である場合には、ボツリヌストキシン製剤による治療が選択肢となります。
一方で、皮下脂肪が主な原因でフェイスラインが丸く見える場合には、脂肪吸引の方が適していることがあります。
診察では、
・骨格
・咬筋の発達
・皮下脂肪
・皮膚のたるみ
を総合的に評価し、原因に応じた治療を提案することが重要です。
「一つの治療ですべて解決する」とは限らない
輪郭形成では、「一つの治療だけで理想を実現できる」とは限りません。
例えば、
・皮下脂肪が多い
・軽度のたるみがある
・顎がやや後退している
という症例では、それぞれ異なる要素に対して適切な治療を組み合わせることで、より自然な仕上がりを目指せる場合があります。
治療の組み合わせは、患者様の状態やご希望、リスクとベネフィットを踏まえて慎重に検討することが重要です。
Casa de GRACIA GINZAが考える輪郭形成
私たちは、特定の施術を「万能な治療」として考えていません。
大切なのは、患者様が「なぜフェイスラインに悩んでいるのか」を解剖学的に分析し、その原因に合わせて治療方針を組み立てることです。
皮下脂肪が原因なのか、たるみなのか、筋肉なのか、骨格なのか。
その診断を丁寧に行うことで、必要な治療を過不足なくご提案することを大切にしています。
輪郭形成は、施術を選ぶことではなく、「その方に合った治療戦略を設計すること」だと私たちは考えています。
まとめ
顔の脂肪吸引、糸リフト、ヒアルロン酸、ジョールファット治療、バッカルファット除去、HIFUやRFなどのエネルギーデバイスは、それぞれ異なる目的と適応を持つ治療です。
どの治療にも長所と限界があり、「どれが一番良いか」ではなく、「どの治療が現在の状態に適しているか」を見極めることが重要です。
Casa de GRACIA GINZAでは、解剖学に基づいた診断をもとに、患者様一人ひとりに合わせたオーダーメイドの輪郭形成をご提案しています。
※顔の脂肪吸引は外科手術であり、腫れ・内出血・むくみ・拘縮・左右差・凹凸・感染などのリスクがあります。術後の経過は第10章、合併症とリスクは第11章で詳しく解説しています。
次章予告
第13章では、「症例別に考える顔の脂肪吸引の治療戦略」をテーマに、丸顔タイプ、顎下脂肪が目立つタイプ、ジョールが気になるタイプ、たるみを伴うタイプ、痩せ型なのにフェイスラインがぼやけるタイプなど、代表的な症例ごとに診断の考え方と治療戦略を美容外科医の視点から詳しく解説します。