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2026.08.26

  • 脂肪吸引
村上 大悟

美容外科医が本当に解説する顔の脂肪吸引完全ガイド:第5章 顔の脂肪吸引の適応・適応外

【連載目次】美容外科医が本当に解説する顔の脂肪吸引完全ガイド

第1章 顔の脂肪吸引とは何か
第2章 顔が大きく見える本当の原因
第3章 顔面解剖学から理解する顔の脂肪吸引
第4章 顔の老化と脂肪の役割
第5章 適応・適応外
第6章 術前診察で美容外科医が見ているポイント
第7章 デザイン理論
第8章 ベイザー脂肪吸引とは
第9章 実際の手術
第10章 ダウンタイム
第11章 合併症
第12章 他施術との違い
第13章 症例ごとの治療戦略
第14章 FAQ
第15章 Casa de GRACIA GINZA が目指す輪郭形成

美容外科医は何を基準に「脂肪吸引が最適な治療」と判断するのか

この記事のポイント
・顔の脂肪吸引は、すべての「小顔になりたい」というご希望に適応となる治療ではありません。
・美容外科医は、脂肪量だけでなく、骨格・皮膚の収縮性・SMAS・加齢変化・顔全体のバランスを総合的に評価して治療方針を決定します。
・適切な適応判断は、安全性だけでなく、長期的な満足度にも大きく影響します。

はじめに

「先生、私は脂肪吸引をした方がいいですか?」
カウンセリングで最も多くいただく質問の一つです。

美容外科医としての答えは、「診察をしなければ分かりません」です。
これは曖昧な回答ではありません。
同じようにフェイスラインが気になる患者様でも、原因が脂肪なのか、骨格なのか、筋肉なのか、あるいは加齢によるたるみなのかによって、最適な治療は大きく異なるためです。

私たちが診察で最も大切にしているのは、「脂肪を取れるか」ではなく、「脂肪を取ることが、その患者様にとって本当に最適な治療か」を見極めることです。

顔の脂肪吸引が適している方

一般的に、次のような特徴がある方は、顔の脂肪吸引で良好な結果が期待できます。

① フェイスラインや顎下に十分な皮下脂肪がある

最も重要なのは、輪郭の乱れの主な原因が皮下脂肪であることです。
特に、
・顎下のボリューム
・フェイスラインの厚み
・ジョール周囲のもたつき
が目立つ方では、脂肪吸引によって輪郭が明瞭になる可能性があります。

② 皮膚の収縮性が保たれている

脂肪を除去した後には、皮膚が新しい輪郭に沿って収縮することが望まれます。
年齢だけでなく、皮膚の弾力や質も重要な評価項目です。
皮膚の収縮性が良好であれば、脂肪吸引単独でも自然な仕上がりが期待できます。

③ 体重が安定している

急激な体重変動がある場合、術後の輪郭にも影響する可能性があります。
長期的に体重が安定している方は、より予測性の高い結果が期待できます。

④ 現実的なゴールを共有できる

顔の脂肪吸引は、顔そのものを劇的に変える手術ではありません。
輪郭を整え、フェイスラインをより洗練させる治療です。
そのため、「別人のような顔になりたい」というご希望よりも、「自分らしさを保ちながら、よりすっきりした印象になりたい」という目標を共有できることが大切です。

顔の脂肪吸引だけでは改善が難しいケース

骨格が主な原因の場合

頬骨の張り出しや下顎骨の形態、オトガイの後退など、骨格によって輪郭が決まっている場合には、脂肪吸引だけで理想的な変化を得ることは難しいことがあります。
こうしたケースでは、ヒアルロン酸による輪郭形成や骨格に対する治療を検討することがあります。

咬筋の発達が強い場合

エラの張りが筋肉によるものであれば、脂肪吸引で改善できる範囲は限定的です。
診察では、咬筋を触診し、必要に応じてボツリヌストキシン治療をご提案することがあります。

皮膚のたるみが主体の場合

皮膚やSMASの弛緩が主な原因である場合、脂肪を除去するだけでは十分な改善が得られず、皮膚の余りが目立つことがあります。
このような場合には、糸リフトやフェイスリフトなど、支持組織へアプローチする治療を組み合わせる方が自然な結果につながることがあります。

美容外科医が診察で確認するポイント

皮下脂肪の厚み

脂肪の量だけでなく、分布や左右差も評価します。
顎下だけに脂肪が集中しているのか、頬にも厚みがあるのかによって、デザインは大きく変わります。

ピンチテスト

皮膚と皮下脂肪を指でつまみ、厚みや可動性を確認する方法です。
ピンチテストは、皮下脂肪の量だけでなく、皮膚の柔軟性や術後の収縮性を予測する参考になります。
ただし、これだけで適応を判断するのではなく、他の診察所見と組み合わせて総合的に評価します。

皮膚の収縮性

脂肪を除去した後に、皮膚が新しい輪郭へなじむ力を評価します。
収縮性が低い場合には、脂肪吸引単独ではなく、引き締め治療やリフト治療を組み合わせることがあります。

骨格分析

美容外科では、正面だけでなく横顔や斜位からも骨格を評価します。
顎先の位置、下顎縁の形態、頬骨の張り出しなどを確認し、「脂肪を減らすべきか」「輪郭を補うべきか」を判断します。

加齢変化

20代と50代では、同じ脂肪量でも治療戦略は異なります。
加齢によるボリュームロスやSMASの変化を考慮し、「どこを残すか」という視点も重視します。

BMI はどこまで参考になるのか

BMIは全身の体格を評価する一つの指標ですが、顔の脂肪量と必ずしも一致するわけではありません。
BMIが低くても顎下脂肪が目立つ方もいれば、BMIが高くても顔の輪郭が比較的シャープな方もいます。
そのため、BMIは参考情報の一つであり、最終的な判断は局所の診察によって行います。

Casa de GRACIA GINZA が考える適応判断

私たちは、「脂肪を吸引できるか」ではなく、「その治療が患者様の将来を含めて最善か」を大切にしています。
十分な脂肪があっても、加齢変化や骨格の特徴を考えると、脂肪を残した方が長期的に自然な輪郭を保てるケースもあります。
逆に、脂肪吸引を行うことでフェイスラインが大きく改善し、自信につながる患者様もいます。

だからこそ、診断は一人ひとり異なります。
画一的な治療ではなく、その方の骨格・皮膚・脂肪・ライフスタイルまで考慮したオーダーメイドの治療計画を立てることが、私たちの診療方針です。

まとめ

顔の脂肪吸引は、「脂肪があるから行う手術」ではありません。
皮下脂肪、骨格、皮膚の収縮性、SMAS、加齢変化、そして患者様が目指す仕上がりを総合的に評価したうえで適応を判断することが重要です。
適切な診断は、安全性を高めるだけでなく、数年後も自然で美しい輪郭を維持するための第一歩になります。

次章予告

第6章では、「術前診察で美容外科医が見ているポイント」をテーマに、正面・側面・斜位からの評価、Eライン、Jawline、Cervicomental Angle(頸部‐オトガイ角)、左右差、写真撮影、デザインの考え方まで、実際のカウンセリングに近い視点で詳しく解説します。

written by

医師

村上 大悟

DAIGO MURAKAMI

18年にわたり心臓・呼吸器を中心に幅広い手術を経験し、「低侵襲手術」を追求してきました。培った技術と判断力を活かし、科学的根拠に基づいた確かな美容医療で、理想の美を追求します。ぜひお気軽にご相談ください。

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