2026.09.01
- 脂肪吸引

美容外科医が本当に解説する顔の脂肪吸引完全ガイド:第6章 術前診察で美容外科医が見ているポイント
【連載目次】美容外科医が本当に解説する顔の脂肪吸引完全ガイド
第1章 顔の脂肪吸引とは何か
第2章 顔が大きく見える本当の原因
第3章 顔面解剖学から理解する顔の脂肪吸引
第4章 顔の老化と脂肪の役割
第5章 適応・適応外
第6章 術前診察で美容外科医が見ているポイント
第7章 デザイン理論
第8章 ベイザー脂肪吸引とは
第9章 実際の手術
第10章 ダウンタイム
第11章 合併症
第12章 他施術との違い
第13章 症例ごとの治療戦略
第14章 FAQ
第15章 Casa de GRACIA GINZA が目指す輪郭形成
顔の脂肪吸引の仕上がりは、手術ではなく「診断」で決まる
この記事のポイント
・顔の脂肪吸引の成功は、手術当日ではなく術前診察から始まっています。
・美容外科医は脂肪の量だけではなく、骨格・皮膚・筋肉・加齢変化・左右差・顔全体のバランスを総合的に評価します。
・「どれだけ吸引するか」よりも、「どこを残し、どこを整えるか」という診断が長期的な満足度を左右します。
はじめに
患者様から、「先生は診察で何を見ているのですか?」というご質問をいただくことがあります。
多くの方は、顎下や頬を触診して脂肪の量を確認していると思われるかもしれません。
しかし、実際の診察ではそれ以上に多くの情報を集めています。
美容外科医は、患者様が診察室へ入った瞬間から、立ち姿勢、首の角度、表情、笑顔、話し方、さらには横顔の印象まで観察しています。
顔は静止画ではなく、動きのある立体構造です。
そのため、正面だけでなく、横顔や斜めからの見え方も含めて診断することが重要です。
正面から見た評価
正面では、まず顔全体のバランスを確認します。
評価する主なポイントは以下の通りです。
・額・中顔面・下顔面の縦方向の比率
・左右対称性
・頬のボリューム
・フェイスラインの滑らかさ
・下顎角の見え方
・顎先の位置
・顎下脂肪の広がり
また、脂肪が左右均等に分布しているとは限りません。
利き側で咀嚼する習慣や姿勢、過去の体重変動などの影響により、左右差がみられることもあります。
診察では、この左右差を術前から把握し、術後の説明にも反映させます。
側面から見た評価
横顔は、輪郭形成において非常に重要です。
患者様ご自身は正面を見る機会が多い一方で、周囲の人は横顔や斜め顔を見る時間の方が長いともいわれています。
そのため、側面評価では以下を確認します。
Cervicomental Angle(頸部‐オトガイ角)
顎下から首への移行角度です。
この角度が明瞭であるほど、フェイスラインは引き締まって見えます。
顎下脂肪が多い場合や皮膚のたるみがある場合には、この角度が鈍くなります。
Jawline(下顎縁)
下顎骨のラインがどの程度明瞭に見えるかを評価します。
顎下脂肪だけでなく、ジョールや皮膚のたるみもJawlineに影響します。
脂肪吸引では、このラインを自然に強調できるかが重要なポイントになります。
E ライン
横顔のバランスを評価する代表的な指標です。
鼻先と顎先を結んだラインに対する口唇の位置を確認します。
顎が後退している場合には、脂肪吸引だけでは十分な改善が得られないこともあり、顎の輪郭形成を組み合わせる選択肢も検討します。
斜位から見た評価
斜め45度は、患者様自身が鏡や写真で最も目にする角度です。
美容外科医にとっても、立体的な輪郭を評価する重要な視点です。
この角度では、
・頬のボリューム
・ジョールの突出
・フェイスラインの連続性
・顎下への移行
・首との境界
を総合的に確認します。
術後に「横顔はきれいだけれど斜めから見ると違和感がある」という状態を避けるためにも、斜位での診察は欠かせません。
触診で分かること
視診だけでは分からない情報を得るために、触診を行います。
触診では、
・皮下脂肪の厚み
・脂肪の硬さ
・皮膚の可動性
・皮膚の弾力
・咬筋の発達
・顎下の深部構造
などを確認します。
また、以前に脂肪吸引や糸リフトを受けたことがある方では、瘢痕や癒着の有無も慎重に評価します。
写真撮影が重要な理由
術前写真は、記録のためだけではありません。
正面・左右側面・左右斜位・必要に応じて下方から撮影することで、肉眼では気づきにくい左右差や輪郭の特徴を客観的に把握できます。
また、術後経過を比較するためにも、同じ条件で撮影することが重要です。
デザインは「線」ではなく「立体」を描く作業
術前マーキングでは、単に吸引する範囲を囲むだけではありません。
美容外科医は、
・残す脂肪
・減量する脂肪
・グラデーションをつける部位
・左右差の補正
・顎下から首への移行
まで考えながらデザインを行います。
輪郭形成では、境界を急激に変えるのではなく、自然な移行を作ることが美しい仕上がりにつながります。
そのため、マーキングは「地図」ではなく、「完成形を設計する設計図」と考えています。
美容外科医は「未来の輪郭」を見ている
術前診察では、現在の輪郭だけを評価しているわけではありません。
5年後、10年後の加齢変化も考慮しながら、「どこまで脂肪を減らすべきか」「どこは温存すべきか」を判断します。
若い頃には十分なボリュームがあっても、加齢によって自然に脂肪が減少する部位があります。
そのため、その場の変化だけを求めて過度に吸引すると、将来的に頬のこけや老けた印象につながる可能性があります。
診断とは、「現在」を見るだけでなく、「未来」を設計することでもあります。
Casa de GRACIA GINZA が大切にしている診察
私たちは、「何cc吸引するか」よりも、「どのような輪郭を目指すか」を大切にしています。
診察では、脂肪量だけでなく、骨格、筋肉、皮膚、加齢変化、そして患者様が理想とするイメージを共有しながら治療計画を立てます。
輪郭形成は、画一的な手術ではありません。
一人ひとり異なる顔立ちに合わせてデザインを行うオーダーメイド医療です。
そのため、診察こそが最も重要な工程であり、美しい結果への第一歩だと考えています。
まとめ
顔の脂肪吸引の仕上がりは、手術当日の技術だけで決まるものではありません。
術前診察で骨格や皮膚、脂肪の分布、加齢変化を正確に評価し、その方に最適なデザインを設計することが、自然で美しい輪郭形成につながります。
Casa de GRACIA GINZAでは、解剖学に基づく診断と、長期的な美しさを見据えたオーダーメイドのデザインを重視し、一人ひとりに合わせた治療をご提案しています。
次章予告
第7章では、「デザイン理論」をテーマに、黄金比、Eライン、Jawline、フェイスラインの曲線美、正面・側面・斜位の見え方、そして「どこを取るか」ではなく「どこを残すか」という美容外科医の設計思想について詳しく解説します。