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2025.10.12
糸リフトのダウンタイム完全ガイド|腫れ・痛み・ひきつれの経過と過ごし方

たるんだフェイスラインを引き締め、若々しい印象を取り戻す「糸リフト」。メスを使わない手軽さから、エイジングケアの新たなスタンダードとして注目を集めています。施術への期待に胸を膨らませる一方で、多くの方が直面するのが「ダウンタイム」という現実的な課題です。痛みや腫れはどのくらい続くのか、顔に感じる違和感の正体は何なのか、そしていつになれば理想の自分に出会えるのか。未知の時間に対する不安は、時として施術への一歩をためらわせるかもしれません。ダウンタイムの全貌を時系列で紐解き、具体的な症状への対処法、そして回復を早め、より美しく仕上げるための秘訣まで。あなたの不安を安心と確信に変えるための知識を、専門的かつ冷静な視点から、余すところなくお届けします。

1. ダウンタイムの平均的な期間は?

「糸リフトはダウンタイムが短い」という言葉をよく耳にしますが、その「短い」とは具体的にどのくらいの期間を指すのでしょうか。この問いに対する答えは、実は一つではありません。なぜなら、ダウンタイムの期間は「何を基準に“終わり”と考えるか」によって異なり、さらに「施術内容」や「個人の体質」といった無数の変数によって左右されるからです。ここでは、ダウンタイム期間の現実的な目安を、複数の視点から立体的に解説します。

まず、ダウンタイムの期間を左右する主な要因を理解することが重要です。

  • 糸の種類・本数: 糸にはPCL、PLLA、PDOといった様々な素材があり、体内で吸収されるまでの期間や硬さが異なります。一般的に、硬く吸収が遅い糸や、挿入本数が多いほど、組織への刺激が大きくなりダウンタイムは長引く傾向にあります。
  • 施術者の技術: 経験豊富な医師は、血管や神経を避けながら最小限のダメージで糸を挿入するため、術後の腫れや内出血を大幅に軽減できます。
  • 個人の体質: むくみやすい、内出血しやすいといった体質や、年齢による回復力の差も、ダウンタイムの長さに影響します。

これらの要因を踏まえた上で、ダウンタイムを3つのレベルで考えてみましょう。

レベル1:強い症状が落ち着くまでの期間【約3日〜1週間】

これは、痛み、腫れ、内出血といった、他者からも見て分かりやすい症状が顕著に現れる期間です。痛みのピークは術後2〜3日、腫れのピークも同様に術後3日前後に訪れます。この期間は、マスクをしていても顔の腫れぼったさが気になるかもしれません。重要なイベントや写真撮影などを控えている場合は、この期間を避ける必要があります。多くの人が、このレベル1の期間を「ダウンタイム」として主に認識しています。

レベル2:日常生活にほぼ支障がなくなるまでの期間【約2週間〜1ヶ月】

大きな痛みや腫れは治まり、メイクをすればほとんど分からない状態になります。しかし、自分自身だけが感じる違和感が残る時期です。

  • 大きく口を開けると痛む、または開けにくい
  • 笑った時に顔がひきつる感じがする
  • 洗顔時など、顔に触れると軽い痛みがある
  • 朝起きると顔がむくんでいる これらの細かな症状は、糸が組織に馴染んでいく過程で徐々に解消されていきます。仕事や学校など、通常の社会生活を送る上では大きな問題はありません。

レベル3:全ての違和感がなくなり「完成」するまでの期間【約1〜3ヶ月】

自分自身でも違和感を全く感じなくなり、糸が完全に組織と一体化する期間です。この頃になると、糸の周囲で自身のコラーゲン生成が活発になり(コラーゲンピラー形成)、肌のハリやツヤといった副次的な効果も現れ始め、リフトアップ効果が安定し「完成形」となります。歯科治療など、顔に大きな負担がかかる予定は、この時期以降に入れるのが最も安全です。

結論として、糸リフトのダウンタイムは「大きな症状は1週間、細かな違和感は1ヶ月、完成までは3ヶ月」と覚えておくと、術後の経過を冷静に、そして前向きに捉えることができるでしょう。カウンセリングでは、ご自身のライフスタイルを医師に伝え、どのレベルのダウンタイムを想定してスケジュールを組むべきか、具体的なアドバイスを受けることが重要です。

2. 痛みと腫れのピークはいつ?時系列で解説

糸リフトのダウンタイムで経験する症状の中でも、特に不安に感じるのが「痛み」と「腫れ」でしょう。これらの症状が、いつ、どの程度の強さで現れ、どのように引いていくのか。その詳細な経過を時系列で理解しておくことは、心の準備となり、ダウンタイムを乗り越える上での大きな助けとなります。

【施術当日】麻酔が切れてからの数時間が最初の山場

  • 施術直後〜3時間後: 局所麻酔が効いているため、痛みはほとんどありません。しかし、麻酔液によるむくみと、糸による物理的な引き上げで、顔はすでに腫れぼったく感じます。
  • 施術後3時間〜当日の夜: 麻酔が切れ始めると、ジンジン、ズキズキとした拍動性の痛みが現れ始めます。これが痛みの最初のピークです。処方された痛み止めを服用することで、十分にコントロール可能です。腫れも徐々に増していきます。

【術後1〜3日】痛みと腫れのダブルピーク

この期間が、ダウンタイムにおける最も症状が強い時期です。

  • 痛み: ズキズキとした自発痛(何もしなくても痛い)は、翌日にはかなり和らぎます。しかし、代わりに圧痛(触ると痛い)や、動作時痛(表情を動かす、食事をするなど)がメインになります。不用意に顔に触れたり、寝返りをうったりした際に、思わず「痛っ」と声が出るような感覚です。
  • 腫れ: 腫れは術後48時間〜72時間後にピークを迎えます。顔全体がむくみ、フェイスラインがぼやけ、一時的に手術前より顔が大きく見えることもあります。これは、手術による炎症反応が最大になっている証拠であり、ここを乗り越えれば、あとは引いていくだけです。
  • 内出血: 内出血が出た場合、この時期に最も色が濃く(濃い紫色)、範囲も広く見えます。

【術後4日〜1週間】急速な回復と安堵の時期

大きな山を越え、日ごとに回復を実感できる時期です。

  • 痛み: 圧痛は残りますが、日常生活で痛みを感じる場面は激減します。
  • 腫れ: ピーク時と比較して、明らかに腫れが引いていくのが分かります。まだむくみ感はありますが、マスクをすれば外出も気にならなくなります。
  • 内出血: 内出血は、身体の治癒プロセスによって色が変化していきます。これは、血液中の赤い色素であるヘモグロビンが分解されていく過程で起こります。
    • 赤紫色 → 青緑色 → 黄色 → 消滅 この色の変化は、順調に回復しているサインです。黄色くなれば、あと少しで消えるという目印になります。

【術後2週目以降】症状の鎮静化

  • 術後2週間: 大きな腫れはほぼなくなり、メイクでカバーすれば、人に気づかれることはほとんどありません。しかし、自分ではまだ軽いむくみや、触った時の鈍い痛みを感じます。
  • 術後1ヶ月: むくみや圧痛もほとんど消失します。この頃には、ダウンタイムの主な症状からは解放されたと言えるでしょう。

痛みや腫れは、身体が受けたダメージに対する正常な反応です。この時系列の経過を知っておけば、ピーク時にも「これは想定内だ」と冷静に受け止め、回復への期待を持って過ごすことができるはずです。

3. 口の開けづらさや、ひきつれ感はいつまで続く?

糸リフトのダウンタイムにおいて、痛みや腫れとはまた質の違う、独特の不快な症状が「口の開けづらさ」と「ひきつれ感」です。これらの症状は、日常生活のふとした瞬間に現れるため、「顔の動きがこのまま元に戻らなかったらどうしよう」という機能的な不安を引き起こしやすいものです。しかし、結論から言えば、これらは糸がたるみをしっかりと引き上げ、効果を発揮している証拠であり、時間と共に必ず自然に解消されていきます。

【口の開けづらさ:ピークは1週間、歯医者の予約は1ヶ月後から】

  • なぜ起こる? 食事や会話の際、口を開けるという動作は、頬から顎にかけての広範囲の組織を動かしています。糸リフトは、この動く組織をコグ(トゲ)で引っかけて固定し、引き上げている状態です。そのため、口を大きく開けようとすると、糸による物理的な抵抗が生まれ、動きが制限されるのです。
  • 経過と具体的な影響:
    • 術後〜1週間: この期間が最も口が開けにくいピークです。大きなハンバーガーにかぶりついたり、リンゴを丸かじりしたりすることは不可能です。食事は、スプーンで食べられる柔らかいものが中心になります。特に注意したいのが歯磨きで、奥歯までブラシが届きにくくなります。
    • 術後1週間〜1ヶ月: 腫れが引くにつれて、口の開けづらさは劇的に改善します。通常の食事は問題なくできるようになりますが、大きなあくびをしたり、歌を歌ったりする際には、まだつっぱり感を感じることがあります。
    • 術後1ヶ月以降: ほとんどの人が、口の開けづらさを意識することはなくなります。

【ひきつれ感:糸が馴染むまでの“慣らし運転”期間】

  • なぜ起こる? 笑ったり、顔をしかめたりといった表情の変化の際に、皮膚の一部が引っ張られるような感覚や、不自然なヨレ、凹みとして現れます。これは、挿入された糸がまだ周囲の組織に完全に馴染んでおらず、糸のラインに沿ってダイレクトに皮膚が動いてしまうために起こります。いわば、糸リフターとしての“慣らし運転”の期間に生じる特有の感覚です。
  • 経過と対処法:
    • 術後〜2週間: 表情を動かすたびに、ひきつれ感を最も強く感じる時期です。この時期に、無理に大きな表情を作ろうとするのは避けましょう。鏡を見て、「笑った顔が不自然だ」と不安になるかもしれませんが、一時的なものなので心配はいりません。
    • 術後2週間〜1ヶ月: 糸が徐々に組織に馴染み、周囲に自身のコラーゲンが生成され始めると、糸と組織の一体感が増し、ひきつれ感は大幅に軽減されます。この頃には、自然な笑顔が戻ってきます。
    • 術後1ヶ月〜3ヶ月: 糸が完全に組織に定着し、ひきつれ感や違和感はほぼ消失します。

これらの症状は、身体が新しい状態に適応していくための正常なプロセスです。ひきつれ感は「糸がたるみを引き上げるために頑張ってくれている証拠」とポジティブに捉え、焦らずに身体の変化を見守ることが、精神的な負担を軽減する上で最も効果的な対処法と言えるでしょう。

4. 施術直後から翌日の正しい過ごし方

糸リフトのダウンタイムをいかに短く、そして美しく仕上げるか。その成否を分けると言っても過言ではないのが、施術直後から翌日にかけての、いわば「ゴールデンタイム」とも呼べる期間の過ごし方です。この期間は、手術による炎症反応が最も活発になる時期であり、ここでの適切なケアが、その後の回復プロセス全体に大きな影響を与えます。ここでは、術後48時間をトラブルなく過ごすための、具体的な行動指針を詳しく解説します。

【帰宅後のミッション:炎症を最小限に抑え込む】

クリニックを出て帰宅したら、まずは全ての予定をキャンセルし、身体を休めることに専念してください。この期間のあなたのミッションはただ一つ、「炎症を最小限に抑え込む」ことです。

  • ミッション1:処方薬の確実な服用 クリニックから処方される薬は、あなたの回復をサポートするための重要な武器です。
    • 抗生剤: 細菌感染を防ぐための最も重要な薬です。指示された時間、回数を厳守し、必ず全量を飲み切ってください。
    • 痛み止め: 痛みを我慢することは、身体にとってストレスとなり、回復を妨げる可能性があります。痛みが強くなる前に、予防的に服用するのが賢い使い方です。
    • 胃薬: 抗生剤や痛み止めによる胃への負担を軽減します。
  • ミッション2:効果的なアイシング(冷却) 炎症による熱感を鎮め、腫れと痛みを抑制する最も有効な手段がアイシングです。これは、火事における「初期消火」のようなもので、早ければ早いほど効果的です。
    • 準備するもの: 清潔なタオルやガーゼ、そして保冷剤(ケーキなどについてくる小さなものが使いやすい)や、ジェルタイプの冷却シート。
    • 正しい方法: タオルで包んだ保冷剤を、こめかみやフェイスライン、頬骨の下など、腫れや熱感が気になる部分に1回15分程度当てます。これを1〜2時間おきに繰り返します。
    • NG行動: 冷やしすぎは血行不良を招き、凍傷のリスクもあるため、長時間当て続けるのは避けてください。また、糸の挿入部に直接当てるのではなく、その周辺を冷やすようにしましょう。

【睡眠の質が回復を左右する:仰向け寝の徹底】

睡眠中は、身体の修復を司る成長ホルモンが最も多く分泌される、まさに回復のゴールデンタイムです。この時間を最大限に活用するためには、睡眠時の姿勢が極めて重要になります。

  • 仰向け寝の重要性: 横向きやうつ伏せで寝てしまうと、顔の片側に体重がかかり、挿入した糸に物理的な圧力が加わります。これにより、糸がズレる、コグが外れる、腫れや痛みが悪化する、仕上がりに左右差が出るといった、深刻なトラブルの原因となり得ます。
  • 快適に仰向け寝を続ける工夫:
    • 枕の高さを調整する: 普段より枕を少し高くし、頭を心臓より高い位置に保つことで、顔への血液やリンパ液の滞留を防ぎ、むくみを軽減できます。
    • 「枕の砦」を作る: 身体の左右にクッションや丸めたタオルを置き、物理的に寝返りを打ちにくくする「砦」を作ると、無意識のうちに横を向いてしまうのを防げます。
    • ネックピローの活用: 首を優しく固定してくれるネックピローは、仰向け姿勢を安定させるのに非常に役立ちます。

5. メイク・洗顔・シャワーはいつからOK?

糸リフトのダウンタイム中でも、社会生活を送る上で、最低限の身だしなみは整えたいものです。「いつからメイクができるのか」「洗顔やシャワーで気をつけることは?」といった、日常生活の基本的な行動に関する疑問は、多くの方が抱くことでしょう。ここでは、施術後のデリケートな肌にダメージを与えることなく、安全にこれらの行為を再開するためのタイミングと具体的な注意点を詳しく解説します。

【メイク:翌日から可能。ただし“触り方”が鍵】

  • 再開のタイミング: 糸の挿入部(針穴)を除けば、施術の翌日からメイクは可能です。針穴は通常、こめかみの生え際など目立たない位置にあり、非常に小さいため、数日間はメイクで隠す必要はないでしょう。
  • Q. 針穴をファンデーションで隠してもいい? A. いいえ、避けるべきです。まだ完全に塞がっていない針穴にメイク製品が付着すると、雑菌が入り込み感染症を引き起こすリスクがあります。クリニックから処方された保護テープなどを貼り、その上からはメイクをしないようにしてください。
  • メイク時の注意点:「置く」ように、「優しく」 術後の肌は、見た目以上に敏感です。
    • ベースメイク: スポンジやブラシで肌を擦るのではなく、リキッドやクリームタイプのファンデーションを指の腹に取り、ポンポンと優しく置くようにして肌に乗せていきます。
    • ポイントメイク: アイメイクやチークも、ブラシを滑らせるのではなく、軽くタップするように色を乗せましょう。
    • クレンジング: メイクを落とす際も注意が必要です。洗浄力の強いオイルクレンジングでゴシゴシ擦るのは厳禁です。肌への摩擦が少ないミルクタイプやジェルタイプのクレンジングを使い、優しく馴染ませてから、ぬるま湯で丁寧に洗い流してください。

【洗顔・シャワー:血行を促進しすぎない温度と方法】

  • 再開のタイミング:
    • シャワー(首から下): 施術当日から可能です。
    • 洗顔・洗髪: 施術の翌日から可能です。
  • 注意点:「ぬるま湯」で、「そっと」 熱いお湯は血行を促進し、腫れや痛みを悪化させる原因になります。
    • 洗顔: 32〜34℃程度のぬるま湯を使用します。洗顔料を手のひらでしっかりと泡立て、その泡をクッションにして、指が直接肌に触れないように「泡で洗う」ことを意識してください。すすぎも、シャワーを直接顔に当てるのではなく、手ですくったぬるま湯を優しくかけるようにします。
    • 洗髪: 下を向いて髪を洗うと、頭に血が上り、顔の腫れを助長します。可能な限り上を向いて、美容室のように洗うのが理想です。
    • タオルドライ: 清潔で柔らかいタオルを使い、擦らずに、顔を押さえるようにして水分を吸収させます。

【入浴やサウナは1週間以上の我慢が必要】

湯船に浸かる入浴やサウナ、岩盤浴は、身体を深部から温め、血行を過度に促進させます。腫れや内出血、痛みを悪化させる大きな要因となるため、症状が強く出ている術後1週間は絶対に避けましょう。安全を期すなら2週間控えるのが理想です。

これらのルールは、あなたの回復を早め、感染症などのリスクから身を守るための重要な約束事です。正しいケアを実践し、安全で快適なダウンタイムを過ごしましょう。

6. ダウンタイムを早く終わらせるための3つの工夫

糸リフトのダウンタイムは、時間の経過と共に誰もが回復していきますが、そのスピードと快適さは、日々の過ごし方によって大きく変わってきます。ここでは、回復プロセスを積極的にサポートし、少しでも早く理想の状態に近づくための具体的な工夫を、「守りのケア」「攻めの栄養」「賢い休息」という3つのカテゴリーに分けてご紹介します。

1.【守りのケア】回復の邪魔をしない生活習慣

  • 血行を過度に促進させない: 適度な血行促進は回復に有益ですが、過度な促進は腫れや痛みを悪化させます。術後1週間は、以下の行為を厳禁と心得ましょう。
    • 飲酒: アルコールは血管を拡張させ、炎症を助長します。
    • 長時間の入浴・サウナ: 身体を深部から温めすぎると、腫れが引きにくくなります。
    • 激しい運動: 心拍数が上がるような運動は、血流を増加させます。
  • 血行を阻害しない: 逆に、血行を悪化させる行為も、回復を遅らせる大きな原因となります。
    • 喫煙: タバコに含まれるニコチンは血管を強力に収縮させ、傷の治りに必要な酸素や栄養素が組織に届くのを妨げます。感染症のリスクも高まるため、術前後の禁煙は必須です。
  • 物理的な刺激を避ける:
    • 顔を強く擦らない・押さない: 洗顔やスキンケア、メイクは、羽毛で触れるような優しさで行いましょう。
    • マッサージはしない: 自己流のマッサージは、糸のズレや感染の原因となります。
    • うつ伏せ・横向きで寝ない: 仰向けで寝ることを徹底し、糸への圧迫を防ぎます。

2.【攻めの栄養】回復を加速させる食事術

手術後の身体は、ダメージを修復するために、質の良い「材料」を必要としています。食事を通じて、回復に必要な栄養素を積極的に補給しましょう。

  • 回復三銃士「タンパク質・ビタミン・亜鉛」:
    • タンパク質(肉、魚、卵、大豆製品): 新しい細胞やコラーゲンを作るための主原料です。特に、コンビニでも手軽に購入できるサラダチキンやプロテインドリンクは、ダウンタイム中の強力な味方です。
    • ビタミンC(柑橘類、ブロッコリー、パプリカ): コラーゲンの生成を助け、炎症を抑えます。
    • 亜鉛(牡蠣、レバー、牛肉): 細胞の再生を促し、傷の治りを早めます。
  • むくみ撃退コンビ「カリウム&水分」:
    • カリウム(バナナ、アボカド、ほうれん草): 体内の余分な塩分を排出し、むくみを軽減します。
    • 水分(水、白湯、麦茶): 十分な水分摂取は、体内の巡りを良くし、老廃物の排出を促します。

3.【賢い休息】心と身体を癒す時間の使い方

ダウンタイムは、身体だけでなく心も休ませる期間です。質の高い休息が、回復を早めるための土台となります。

  • 質の高い睡眠: 身体の修復工場がフル稼働する睡眠時間を、十分に確保しましょう。寝る前にスマートフォンを見るのをやめ、リラックスできる環境を整えることが大切です。
  • メンタルの安定: 鏡を見て一喜一憂したり、不安な気持ちで過ごしたりすることは、ストレスとなり回復に悪影響を及ぼす可能性があります。「必ず綺麗になる」と信じ、回復に専念する休暇と割り切って、好きな映画を観たり、読書をしたりと、心穏やかに過ごす工夫をしましょう。

これらの工夫は、あなたのダウンタイムを「ただ耐える期間」から、「美しくなるために積極的に過ごす期間」へと変えてくれるはずです。

7. 仕事や学校は何日休むのがベスト?

糸リフトの施術を計画する上で、多くの方が頭を悩ませるのが「仕事や学校をどのくらい休むべきか」という現実的な問題です。幸いなことに、糸リフトはメスを使わないため、他の美容外科手術に比べて必要な休暇は短く済みます。しかし、職種や個人の状況によって最適な日数は異なります。ここでは、あなたのライフスタイルに合わせた、賢い休暇の取得プランを提案します。

【基本プラン:週末を利用した2〜3日の休暇】

多くの方にとって最も現実的で、かつ推奨されるのがこのプランです。

  • 対象者: デスクワーク中心の会社員、学生、リモートワーカーなど
  • スケジュール例: 金曜日に施術を受け、土曜日と日曜日の2日間を回復に専念。月曜日からマスクをして復帰する。
  • メリット:
    • 腫れと痛みのピークである術後2〜3日間を、自宅でゆっくりと過ごすことができます。
    • 休暇を別途取得する必要がなく、周囲に気づかれずに施術を受けやすいです。
  • 復帰後の注意点: 月曜日の時点では、まだ顔にむくみ感や、笑った時のひきつれ感が残っています。しかし、マスクで大部分を隠せるため、業務に大きな支障はありません。オンライン会議では、画面越しでは腫れがほとんど分からないというメリットもあります。

【安心プラン:余裕を持った3〜5日の休暇】

人と対面する機会が多い方や、ダウンタイムの症状に不安が強い方は、もう少し長めの休暇を確保すると、心に余裕を持って過ごせます。

  • 対象者: 接客業、営業職、講師など、人前に立つ仕事の方
  • スケジュール例: 水曜日か木曜日に施術を受け、週末を含めて4〜5日間の休みを確保する。
  • メリット:
    • 腫れや内出血がかなり落ち着いた状態で復帰できるため、精神的な負担が少ないです。
    • 口の開けづらさや、表情のひきつれ感も和らいでいるため、会話が多い仕事でもスムーズに対応できます。
  • 復帰後の注意点: まだ大きな表情を作るのは避けた方が無難です。無理に笑顔を作ろうとせず、自然体でいることを心掛けましょう。

【万全プラン:身体を動かす仕事のための5日〜1週間】

身体的な負担が大きい仕事に従事している方は、回復を最優先し、十分な休暇を取ることが望ましいです。

  • 対象者: フィットネスインストラクター、介護職、運送業など、身体を動かしたり、力仕事が多い方
  • スケジュール例: 週末を挟んで、5日〜1週間の連休を取得する。
  • メリット:
    • 身体を動かすことによる腫れや痛みの悪化を防ぎ、回復に専念できます。
    • 身体的な違和感がほぼなくなった状態で復帰できるため、仕事のパフォーマンスへの影響を最小限に抑えられます。
  1. リモートワークなら休まなくても大丈夫? A. 理論上は、施術翌日からリモートワークを行うことも可能です。しかし、術後2〜3日は痛みや腫れで集中力が低下しやすいため、可能であれば最低1〜2日は完全な休暇を取ることをお勧めします。ご自身の体調を最優先に考え、無理のない範囲で仕事量を調整しましょう。

最終的な判断は、あなたの身体と心の状態が基準です。これらのプランを参考に、医師とも相談しながら、ご自身にとって最適な復帰スケジュールを立ててください。

8. 糸リフト後の食事や飲酒の注意点

糸リフト後のダウンタイム期間中は、普段何気なく行っている「食べる」「飲む」という行為にも、特別な配慮が必要です。口周りの組織がデリケートになっているため、食事内容によっては痛みを感じたり、回復を遅らせたりする可能性があります。また、アルコール摂取は、ダウンタイムの症状を悪化させる最大の要因の一つです。ここでは、術後の食事と飲酒に関する「すべきこと」と「避けるべきこと」を具体的に解説します。

【食事編:口への負担を最小限に抑えるメニュー選び】

術後、特に最初の1週間は、口の開けづらさや咀嚼時の痛みを考慮した食事選びが重要です。

  • ダウンタイム初期におすすめの「回復サポート食」 回復に必要な栄養を、口に負担をかけずに摂取できるメニューを選びましょう。
    • 主食: お粥、雑炊、リゾット、柔らかく煮込んだうどん
    • スープ類: ポタージュスープ、ミネストローネ(具材は細かく)、味噌汁
    • タンパク質: 豆腐(冷奴、湯豆腐)、茶碗蒸し、魚のほぐし身、鶏ひき肉のあんかけ
    • その他: ヨーグルト、プリン、ゼリー飲料、スムージー、プロテインドリンク
  • 術後1週間は避けたい「NGメニュー」
    • 大きく口を開ける必要があるもの: ハンバーガー、厚切りのサンドイッチ、ステーキ、リンゴの丸かじりなど。
    • 硬くて何度も噛む必要があるもの: フランスパン、せんべい、ナッツ類、ごぼうなどの根菜類。
    • 熱すぎるもの・辛すぎるもの: ラーメンや熱々のスープ、唐辛子を多用した料理は、血行を促進し、腫れや痛みを増強させるため、少し冷ましてから食べましょう。
  • 食事を楽にするための小道具「ストロー」の活用 スープやスムージー、プロテインドリンクなどを飲む際にストローを使うと、口を大きく開けたり、唇をすぼめたりする必要がなく、口周りの筋肉への負担を最小限に抑えられます。術後数日間は、非常に役立つアイテムです。

【飲酒編:回復を妨げる最大の敵】

  • なぜ飲酒は厳禁なのか?
    1. 腫れと内出血の悪化: アルコールには血管を拡張させる作用があります。これにより血流が過剰に増加し、腫れが強く出たり、内出血が広範囲に及んだりする原因となります。
    2. 痛みの増強: 血行が良くなることで、炎症部位の神経が刺激され、ズキズキとした痛みが強く感じられるようになります。
    3. 薬の効果への悪影響: 処方された抗生剤や痛み止めの分解・代謝に影響を与え、薬の効果を減弱させたり、肝臓への負担を増大させたりするリスクがあります。
    4. 治癒の遅延: アルコールの分解には、体内のビタミンやミネラルが大量に消費されます。これにより、組織の修復に必要な栄養素が不足し、回復が遅れる可能性があります。
  • いつから飲酒を再開できる? 症状が最も強く出る期間を考慮し、最低でも術後3日間は一滴も飲まないようにしてください。しかし、これはあくまで最低ラインです。腫れや内出血を可能な限り早く引かせたいのであれば、術後1週間は禁酒するのが理想的です。
  • どうしても飲み会に参加しなければならない場合は? ノンアルコール飲料で過ごし、早めに切り上げるなどの自己管理を徹底しましょう。「術後で薬を飲んでいるため」という理由は、飲酒を断る正当な口実になります。

ダウンタイム中の食事と飲酒の自己管理は、美しい仕上がりを手に入れるための、あなた自身ができる最も効果的な貢献の一つなのです。

9. 拘縮期のセルフケアとマッサージ

糸リフトの施術から数週間が経ち、大きな腫れや痛みが落ち着いてくると、次に多くの人が気になり始めるのが「拘縮(こうしゅく)」です。顔に触れると皮膚が硬く感じられたり、表情を動かした時にひきつれ感があったりするため、「この硬さをほぐすためにマッサージをした方が良いのでは?」と考える方も少なくありません。

しかし、ここで声を大にしてお伝えしたいのは、糸リフト後の自己流マッサージは、原則としてNGであるということです。良かれと思って行った行為が、かえって仕上がりを損なう原因になりかねないため、正しい知識を持つことが極めて重要です。

【なぜマッサージは危険なのか?糸リフトの仕組みから理解する】

糸リフトの効果は、皮下に挿入された糸に付いている「コグ」と呼ばれる小さなトゲが、脂肪層などの組織にしっかりと引っかかることで生まれます。このコグがアンカー(錨)の役割を果たし、たるんだ組織を力強く引き上げているのです。

術後1ヶ月〜3ヶ月の期間は、このコグが周囲の組織と癒着し、完全に定着するための、非常にデリケートな時期です。この時期に、外部から強い力でマッサージを行うと、以下のようなリスクが生じます。

  • 糸のズレ・緩み・断裂: まだ完全に定着していない糸を、マッサージで動かしてしまうと、コグが組織から外れてしまったり、糸が本来あるべき位置からズレてしまったりする可能性があります。最悪の場合、糸が緩んだり、切れたりすることもあり得ます。これにより、リフトアップ効果が著しく低下したり、仕上がりに不自然な左右差が生じたりする原因となります。
  • 感染や炎症のリスク: 強いマッサージは、治癒過程にある組織に余計な刺激を与え、炎症を長引かせる可能性があります。また、皮膚を強く擦ることで、目に見えない微細な傷から細菌が侵入し、感染症を引き起こすリスクもゼロではありません。
  • 神経・血管へのダメージ: 顔には、多くの重要な神経や血管が複雑に走行しています。解剖学的な知識がないまま自己流でマッサージを行うと、これらの組織を傷つけてしまう危険性もあります。

【糸リフト後の「拘縮」はポジティブなサイン】

糸リフト後に感じる硬さやひきつれ感は、糸という異物に対して身体が反応し、その周囲にコラーゲンの壁(コラーゲンピラー)を生成している証拠です。このコラーゲンピラーが形成されることで、糸が吸収された後も、長期にわたって肌のハリとリフトアップ効果が維持されます。つまり、この時期の適度な硬さは、効果が長持ちするための「土台作り」が行われているポジティブなサインなのです。無理にほぐそうとする必要は全くありません。

【推奨される唯一のセルフケア】 マッサージの代わりに、以下の穏やかで基本的なケアを徹底することが、美しい仕上がりへの最も安全な道です。

  • 徹底した保湿と紫外線対策: 肌のコンディションを健やかに保つことが、質の良いコラーゲン生成をサポートします。低刺激の製品で優しく保湿し、日焼け止めで紫外線ダメージから肌を守りましょう。
  • 穏やかな表情筋ストレッチ: 術後2週間以降、ひきつれ感が気になる場合は、無理のない範囲で、ゆっくりと「あ・い・う・え・お」と口を動かすなど、ごく軽い表情筋のストレッチを行うと、糸が組織に馴染むのを助ける効果が期待できます。ただし、痛みや強い違和感がある場合はすぐに中止してください。

もし、どうしても拘縮の硬さや凸凹が気になる場合は、自己判断で行動せず、必ず施術を受けたクリニックに相談してください。医師の診断のもと、インディバなどの専門的なアフターケアで対処するのが、最も安全かつ効果的な解決策です。

10. 快適なダウンタイムを過ごすための準備物

糸リフトの施術日を心待ちにする一方で、ダウンタイムへの備えも万全にしておきたいものです。特に、痛みや腫れがピークを迎える術後3日間は、外出を控え、自宅で安静に過ごすことが推奨されます。その「おこもり期間」を少しでも快適に、そしてストレスなく乗り切るために、事前に準備しておくと便利なアイテムを「マストアイテム(必須)」「ベターアイテム(あると便利)」に分けてご紹介します。

【マストアイテム編:これだけは必ず準備したい必須品】

  • 冷却用品: 腫れと痛みを抑えるための最重要アイテムです。
    • 保冷剤(小さめのもの): 清潔なガーゼやタオルで包んで使用します。複数個用意しておくと、冷たくなくなったらすぐに交換できます。
    • ジェルタイプの冷却シート: 額やこめかみに貼るだけで手軽に冷却でき、持続時間も長いので便利です。
  • 処方薬とケア用品:
    • クリニックから処方された薬(抗生剤、痛み止めなど): 忘れないように、分かりやすい場所に置いておきましょう。
    • 針穴を保護するテープや軟膏: 指示通りに使用するために、すぐに取り出せるようにしておきます。
    • マスク(大きめのもの): 外出時の必需品。腫れや内出血を隠すだけでなく、外部の刺激や紫外線から顔を守る役割も果たします。
  • 食事・水分補給関連:
    • すぐに食べられる柔らかい食事: レトルトのお粥、ゼリー飲料、ヨーグルト、スープなど、調理不要で口への負担が少ないものを数日分ストックしておきましょう。
    • ストロー: コップから直接飲むよりも、口周りの筋肉を使わずに水分補給ができます。
    • ミネラルウォーターやお茶: こまめな水分補給は回復を助けます。

【ベターアイテム編:あると格段に快適度がアップする便利品】

  • 睡眠サポートグッズ:
    • ネックピロー: 仰向け寝を強制的にサポートし、首への負担も軽減します。
    • クッションや抱き枕: 身体の左右に置くことで寝返りを防ぎ、楽な姿勢を保つのに役立ちます。
  • 衛生・スキンケア用品:
    • 低刺激のスキンケア製品(敏感肌用): 術後のデリケートな肌のために、アルコールフリーなど、肌に優しい処方のものを用意しておくと安心です。
    • ドライシャンプー、からだ拭きシート: 翌日の洗髪やシャワーが億劫な場合に重宝します。
  • リラックス・エンタメグッズ:
    • 観たい映画やドラマのリストアップ: 動画配信サービスなどを活用し、安静期間を楽しむ準備をしておきましょう。
    • 読みたかった本や雑誌: 何かに集中することで、痛みや不快感から意識をそらすことができます。
    • リラックスできる音楽やアロマ: 心を落ち着かせ、質の高い休息をサポートします。
  • 外出・ファッションアイテム:
    • つばの広い帽子やキャップ: マスクと組み合わせることで、顔をより広範囲に隠せます。紫外線対策にもなります。
    • 伊達メガネやサングラス: 顔への視線をそらし、カモフラージュするのに役立ちます。

これらのアイテムを事前に準備しておくことは、物理的な快適さだけでなく、「しっかりと備えができた」という精神的な安心感にも繋がります。万全の準備で、落ち着いて施術の日を迎えましょう。

まとめ

本記事では、糸リフトのダウンタイムについて、その期間や症状の時系列的な経過、そして各症状への具体的な対処法を、包括的に解説してきました。痛みや腫れ、ひきつれ感といった身体的な変化は、施術が成功し、身体が正常に回復している証拠です。そのプロセスを正しく理解することが、ダウンタイム中の不要な不安を解消する第一歩となります。また、施術直後の過ごし方から、食事や飲酒の注意点、そして原則としてマッサージを避けるべきであるという重要なセルフケアの知識まで、ダウンタイムをより早く、より快適に、そしてより美しく仕上げるための具体的な行動指針を示しました。糸リフトは、メスを使わない手軽な施術でありながら、確かなリフトアップ効果をもたらす素晴らしい選択肢です。このガイドで得た知識を武器に、術後の回復期間を冷静かつ前向きに乗り越え、あなたが望む、若々しく引き締まった理想のフェイスラインを手に入れてください。

 

美容医療は 「自己肯定感を高めるための選択肢のひとつ」 という信念の もと、一人ひとりの美しさと真摯に向き合う診療スタイルを貫いています。現在は、アジアの美容外科医との技術交流や教育にも力を入れ、国際的なネットワークづくりにも取り組んでいます。

  • <所属学会>

  • 日本美容外科学会JSAS

  • 日本美容外科学会JSASPS

  • 日本形成外科学会

  • 乳房オンコプラスティック

  • <資格>

  • 日本外科学会専門医

  • コンデンスリッチファット療法認定医

  • Total Definer by Alfredo Hoyos 認定医

  • VASER Lipo 認定医

  • RIBXCAR 認定医

【監修医師】

Casa de GRACIA GINZA / GRACIA Clinic 理事長 美容外科医・医学博士 樋口 隆男 Takao Higuchi

18年間にわたり呼吸器外科医として臨床に携わり、 オーストラリアの肺移植チームでの勤務経験も持つ。外科医としての豊富な経験を土台に、10年前に美容外科へ転向。現在は東京・銀座と福岡に美容クリニックを展開し、これまでに10,000例以上の脂肪吸引、4,000例を超える豊胸手術を手がけている。特にベイザー脂肪吸引、ハイブリッド豊胸、脂肪注入豊尻、肋骨リモデリング(RIBXCAR)、タミータック、乳房吊り上げなどのボディデザインを得意とし、自然で美しいシルエットづくりに国内外から定評がある。