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2025.9.18
【Q&A】糸リフトのよくある質問30選|専門医があなたの疑問をすべて解消します

糸リフトに関心をお持ちのあなたへ。

たるみを引き上げ、若々しい印象を取り戻す治療法として人気の糸リフトですが、その一方で「本当に効果があるの?」「どんなリスクがあるの?」といった疑問や不安を抱えている方も少なくないでしょう。特に、メスを使わない手軽さが魅力である反面、施術の具体的な内容やダウンタイム、持続期間など、気になる点は多岐にわたります。

この記事では、美容医療の専門家の視点から、糸リフトに関するよくある30の質問に対して、一つひとつ丁寧に、そして詳しく解説していきます。金属アレルギーの心配から、施術後のケア、効果のピーク、将来的な影響まで、あなたが抱えるあらゆる疑問を解消することを目指します。

正しい知識は、後悔のない選択をするための第一歩です。この記事が、あなたの美しさへの探求において、信頼できる道しるべとなることを願っています。

1. 金属アレルギーでも施術できますか?

結論から言うと、素材を選べば施術可能です。

糸リフトで使用される糸の素材は、PDO(ポリジオキサノン)、PCL(ポリカプロラクトン)、PLLA(ポリ-L-乳酸)などが主流であり、これらは医療用の吸収性縫合糸として長年使用されてきた実績のある素材です。これらの素材は生体適合性が高く、アレルギー反応を起こすリスクは極めて低いとされています。

しかし、過去には金の糸(ゴールドリフト)のように金属を含む糸も存在しました。もしあなたが金属アレルギー、特に金やその他の金属に対してアレルギー反応の既往がある場合、カウンセリングの際に必ず医師に申し出る必要があります。

現代の主流であるPDO、PCL、PLLA製の糸は、金属成分を含んでいないため、金属アレルギーの方でも安心して施術を受けられることがほとんどです。 不安な場合は、使用する糸の成分について事前にクリニックに確認し、場合によってはパッチテストを依頼することも可能です。

2. 空港の金属探知機に反応しますか?

いいえ、反応する心配はほとんどありません。

前述の通り、現在主流の糸リフトで使用されるPDO、PCL、PLLAといった素材は非金属です。体内に吸収される生体ポリマーであり、金属成分を一切含んでいません。

そのため、空港の保安検査場に設置されている金属探知機(ゲート型、ハンディ型)に反応することはまず考えられません。 これは、体内にボルトやプレートを入れる整形外科手術とは根本的に異なります。

海外旅行や出張の予定がある方も、糸リフトが原因で保安検査に影響が出ることはありませんのでご安心ください。

3. 施術後、顔を洗う時の注意点は?

施術後のデリケートな肌を保護するため、洗顔には細心の注意が必要です。

  • 当日の洗顔: 施術当日は、感染リスクを避けるため、洗顔を控えるのが望ましいです。どうしても洗いたい場合は、施術部位を避け、水またはぬるま湯で軽く洗い流す程度に留めてください。
  • 翌日以降の洗顔: 翌日からは洗顔可能ですが、ゴシゴシと強く擦ることは絶対に避けてください。 洗顔料をしっかりと泡立て、泡をクッションにするようにして、肌に直接指が触れないように優しく洗うのがポイントです。
  • 洗い流し: シャワーを直接顔に当てるのは避け、手でぬるま湯をすくって優しく洗い流してください。熱いお湯は血行を促進し、腫れや内出血を悪化させる可能性があるため、ぬるま湯を使用しましょう。
  • タオルで拭く際: 清潔なタオルを使い、押さえるようにして水分を吸収させてください。ここでも擦る動作は厳禁です。

これらの注意点は、少なくとも施術後1週間程度は意識して続けることが、美しい仕上がりとダウンタイムの短縮に繋がります。

4. 挿入した糸が切れることはありますか?

日常生活の範囲内で、挿入した糸が切れることはまずありません。

糸リフトに使用される糸は、十分な強度と柔軟性を兼ね備えて設計されています。表情の動きや、ある程度の外部からの力に耐えられるように作られているため、笑ったり、話したり、食事をしたりといった通常の動作で糸が切れてしまう心配は無用です。

ただし、以下のような強い力が加わった場合は、断裂のリスクが皆無とは言えません。

  • 強すぎる顔のマッサージ
  • 格闘技などの激しいスポーツ
  • 事故による顔面への強い衝撃

施術後1ヶ月程度は、顔に強い圧力がかかる行為は避けるようにしましょう。万が一、施術後に「ブチッ」というような音や感覚があり、リフトアップ効果の明らかな減弱や、不自然な凹みが生じた場合は、速やかに施術を受けたクリニックに相談してください。

5. 効果がなかった場合の保証はありますか?

クリニックによって対応は異なりますが、一般的に「返金保証」のような制度は少ないのが現状です。

糸リフトは、施術者の技術力、使用する糸の種類や本数、そして何よりも患者様自身の肌の状態やたるみの程度によって効果の現れ方が大きく異なります。そのため、「全く効果が感じられない」というケースは稀ですが、期待していたほどの変化が得られなかったと感じる可能性はあります。

多くのクリニックでは、以下のような対応を取ることが一般的です。

  • 再診察と状態の確認: まずは医師が再度診察し、客観的に効果を評価します。
  • 追加施術の提案: 効果が不十分と判断された場合、糸の追加(別途料金が発生する場合が多い)や、他の治療法とのコンビネーションを提案されることがあります。
  • 保証制度の適用: 一部のクリニックでは、「〇ヶ月以内に効果が見られない場合、無料で追加施術を行う」といった独自の保証制度を設けている場合があります。

カウンセリングの段階で、効果に満足できなかった場合の対応方針や、保証制度の有無、その適用条件について、明確に確認しておくことが非常に重要です。

6. 糸リフトで肌質もきれいになるって本当?

はい、本当です。糸リフトにはリフトアップ効果に加えて、美肌効果も期待できます。

これは、糸を皮下組織に挿入することによる**「創傷治愈(そうしょうちゆ)反応」**が大きく関わっています。

  1. 糸の挿入: 糸という「異物」が皮下組織に挿入されると、体はそれを治癒しようとします。
  2. 線維芽細胞の活性化: この治癒過程で、コラーゲンやエラスチンといった肌のハリや弾力を司る成分を生み出す**「線維芽細胞」が活性化**されます。
  3. コラーゲンの増生: 活性化した線維芽細胞は、挿入された糸の周辺に新しいコラーゲンを大量に生成します。このコラーゲンの「鞘(さや)」が、糸が溶けた後も肌のハリを支える土台となります。

この一連の作用により、以下のような美肌効果が期待できます。

  • 肌のハリ・ツヤの向上
  • 弾力アップ
  • 毛穴の引き締め
  • 小じわの改善

リフトアップと同時に肌質の底上げもできる点は、糸リフトの大きな魅力の一つと言えるでしょう。

7. 施術していることが周りにバレませんか?

計画的に施術を受ければ、バレるリスクを最小限に抑えることは可能です。

施術がバレる主な原因は、**「腫れ」「内出血」「傷跡」**です。これらのダウンタイムの症状をいかにコントロールするかが鍵となります。

  • 腫れと内出血: 個人差が大きいですが、通常は数日〜1週間程度で落ち着きます。週末や連休を利用して施術を受け、マスクでカバーできる範囲であれば、日常生活に大きな支障はないでしょう。重要な予定の直前に施術を受けるのは避けるべきです。
  • 傷跡: 糸の挿入箇所に、針穴程度の小さな傷跡ができます。これは通常、髪の生え際やこめかみなど、目立たない部位に作られます。傷跡は数日でかさぶたになり、1週間〜数ヶ月でほとんど分からなくなります。施術直後は、医療用のテープで保護することもあります。
  • 引きつれ感: 施術直後は、糸による引き上げ効果で、顔に多少の引きつれ感や違和感が生じることがあります。これも通常は1〜2週間で馴染んできますが、その間の表情が不自然に見えないよう意識することも大切です。

バレにくくするためのポイント

  • 連休など、休みが取りやすい時期に施術を受ける。
  • マスクで隠せる範囲の施術から試す。
  • 経験豊富な医師を選ぶ(内出血や腫れを最小限に抑える技術力が高い)。
  • 施術後の注意事項をしっかり守る。

8. 施術にかかる時間はどのくらいですか?

施術自体にかかる時間は、30分〜1時間程度が目安です。

ただし、これはあくまで糸を挿入している時間であり、来院から退院までのトータルの所要時間はもっと長くなります。

一般的な当日の流れ

  1. カウンセリング・最終確認(15〜30分): 医師と最終的なデザインや本数を確認します。
  2. 洗顔・準備(10分): メイクを落とし、施術の準備をします。
  3. 麻酔(15〜20分): 局所麻酔や笑気麻酔などを行います。麻酔が効くまでの時間が必要です。
  4. 施術(30分〜1時間): 実際に糸を挿入します。本数や部位によって時間は変動します。
  5. クーリング・休憩(15〜30分): 施術後の腫れを抑えるために、患部を冷却します。
  6. アフターケアの説明・お会計(15分): 施術後の注意事項の説明を受け、会計を済ませます。

トータルでは、おおよそ2時間〜3時間程度を見ておくと良いでしょう。時間に余裕を持ってスケジュールを組むことが大切です。

9. いつが効果のピークですか?

糸リフトの効果の現れ方は、**「直後の物理的なリフトアップ効果」「中長期的なコラーゲン増生による引き締め効果」**の二段階で考えると理解しやすいです。

  • 第1のピーク(施術直後〜1ヶ月): 糸に付いたコグ(トゲ)が皮下組織に引っかかり、物理的にたるみを引き上げる効果です。施術直後からリフトアップ効果を実感できますが、この時期はまだ腫れやむくみが残っているため、少し引き上げ感が強く感じられることもあります。
  • 第2のピーク(施術後1〜3ヶ月): 腫れや引きつれ感が完全に落ち着き、糸の周りでコラーゲンの生成が活発になる時期です。肌内部からハリと弾力が生まれ、リフトアップ効果に加えて、引き締まり感や肌質の向上が最も感じられる**「効果の真のピーク」**と言えるでしょう。

この二段階の効果により、糸リフトは即時性と持続性を両立させています。

10. 糸リフトを続けると顔はどうなりますか?

適切な間隔で継続することで、たるみの進行を予防し、若々しい状態を維持しやすくなります。

糸リフトは永続的な効果を持つ治療ではありません。そのため、効果を持続させたい場合は、定期的なメンテナンスが推奨されます。

継続するメリット

  • たるみの予防・進行抑制: 糸が吸収された後も、生成されたコラーゲン線維が肌の土台を支え続けます。効果が完全になくなる前に次の施術を受けることで、たるみが深刻化するのを防ぎ、**「老化のスピードを緩やかにする」**効果が期待できます。
  • 肌質の維持・向上: 施術を繰り返すことで、コラーゲン生成が定期的に促進され、肌のハリや弾力が維持されやすくなります。

注意点

  • 過度な施術: 短期間に過剰な本数を挿入したり、無理な引き上げを繰り返したりすると、不自然な引きつれや、皮下組織の瘢痕化(はんこんか)を引き起こすリスクがあります。
  • 適切な間隔: 施術の間隔は、使用する糸の種類や個人の状態によって異なりますが、一般的には1年〜2年に1回程度が目安とされています。

信頼できる医師と相談しながら、自分の肌の状態に合った長期的な治療計画を立てることが、将来にわたって自然で美しい顔立ちを保つ秘訣です。

11. 痛みはどのくらいありますか?

施術中は麻酔を使用するため、強い痛みを感じることはほとんどありません。

痛みの感じ方には個人差がありますが、一般的には以下のような段階で痛み対策が行われます。

  • 麻酔クリーム: 針を刺す箇所の皮膚表面の感覚を鈍らせます。
  • 局所麻酔: 歯の治療などで使われるものと同様の注射による麻酔です。糸を挿入する通り道に麻酔薬を注入します。注射の際にチクッとした痛みを感じますが、その後は施術中の痛みはほぼ感じなくなります。
  • 笑気麻酔(オプション): リラックス効果のあるガスを吸入することで、痛みや不安を和らげます。痛みに弱い方や、緊張しやすい方におすすめです。

施術後の痛み

  • 麻酔が切れた後、数日間は鈍い痛みや、触った時の圧痛、引きつれるような違和感が出ることがあります。
  • これらの痛みは、処方される痛み止めで十分にコントロールできる範囲です。
  • 大きな口を開けたり、硬いものを食べたりすると響くような痛みを感じることもありますが、1週間程度で徐々に軽快します。

12. ダウンタイムはどのくらいですか?

ダウンタイムの主な症状と期間の目安は以下の通りです。

  • 腫れ・むくみ:
    • ピークは施術後2〜3日です。
    • 大きな腫れは1週間程度で徐々に引いていきます。
    • 完全にむくみが取れてスッキリするまでには、2週間〜1ヶ月程度かかることもあります。
  • 内出血:
    • 出た場合は、1〜2週間で黄色っぽく変化しながら徐々に吸収されて消えていきます。
    • コンシーラーでカバーできる程度のものがほとんどです。
  • 痛み・違和感:
    • 鈍痛や圧痛は数日〜1週間で落ち着きます。
    • 引きつれ感や口の開けにくさも1〜2週間で自然に馴染んできます。
  • 傷跡(針穴):
    • 数日でかさぶたになり、自然に剥がれ落ちます。
    • 赤みは数週間で引き、数ヶ月後にはほとんど目立たなくなります。

ダウンタイムを短く過ごすポイント

  • 施術後3日間ほどは、保冷剤などで軽く冷やす。
  • 頭を高くして寝る。
  • 飲酒や激しい運動、長風呂など血行を促進する行為を避ける。

13. 施術後、気をつけるべきことは何ですか?

美しい仕上がりを維持し、トラブルを防ぐために、施術後、特に最初の1ヶ月は以下の点に注意してください。

  • 顔への刺激を避ける:
    • 顔のマッサージは厳禁です。ハイフ(HIFU)などの他の美容施術も、最低1ヶ月は間隔を空ける必要があります。
    • うつ伏せ寝は避け、仰向けで寝るように心がけましょう。
    • 歯科治療は、大きな口を開ける必要があるため、1ヶ月程度控えるのが賢明です。
  • 血行が良くなる行為を避ける(施術後1週間):
    • 飲酒、喫煙
    • 激しい運動やサウナ、長風呂
    • これらの行為は、腫れや内出血を長引かせる原因となります。
  • 感染予防:
    • 施術当日は、傷口から細菌が入るのを防ぐため、洗髪や入浴は控え、シャワー程度にしましょう。
    • 傷口を不潔な手で触らないようにしてください。
  • 紫外線対策:
    • 施術後の肌はデリケートです。日焼けは色素沈着のリスクを高めるため、日焼け止めや帽子などでしっかりと紫外線対策を行いましょう。

14. 効果はどのくらい持続しますか?

使用する糸の種類や本数、個人の体質によって異なりますが、一般的には1年〜2年程度が目安です。

効果の持続期間は、主に以下の2つの要素で決まります。

  1. 糸が体内で吸収されるまでの期間:
    • PDO(ポリジオキサノン): 約6ヶ月〜1年で吸収されます。比較的、即時的なリフトアップ効果に優れています。
    • PCL(ポリカプロラクトン): 約2年〜3年かけてゆっくりと吸収されます。持続性が高いのが特徴です。
    • PLLA(ポリ-L-乳酸): 約1年半〜2年で吸収されます。コラーゲン生成能力が高いとされています。
  2. 自己コラーゲンの生成と維持:
    • 糸が吸収された後も、その周りに作られたコラーゲンの壁がしばらくの間、肌を支え続けます。
    • この自己コラーゲンによる引き締め効果が、糸リフトの効果持続において重要な役割を果たします。

「リフトアップ効果」の実感としては1年程度、その後は**「肌のハリやたるみ予防効果」**がしばらく続くと考えると良いでしょう。

15. 何本くらい糸を入れるのが一般的ですか?

たるみの程度や引き上げたい範囲、目指す仕上がりによって大きく異なりますが、片側で4本〜10本、両側で合計8本〜20本程度が一般的な範囲です。

  • 軽度のたるみ・予防目的(20代〜30代):
    • フェイスラインの引き締めや、将来のたるみ予防が目的の場合、両側で4本〜8本程度が目安です。
  • 中程度のたるみ(40代〜50代):
    • ほうれい線やマリオネットライン、フェイスラインのもたつきが気になり始めた場合、しっかりとリフトアップ効果を出すために、両側で10本〜16本程度が必要になることが多いです。
  • 重度のたるみ・しっかりとしたリフトアップを求める場合:
    • たるみが強く、広範囲の引き上げが必要な場合は、両側で20本以上の糸を使用することもあります。

本数が多ければ良いというものではありません。少ない本数でも、適切な深さ、適切な方向に効果的に挿入することが最も重要です。カウンセリングで医師とよく相談し、自分の状態に合った最適な本数を決定しましょう。

16. 糸リフトの種類が多くてどれを選べば良いかわかりません。

糸リフトの糸は、**「素材」「形状」「長さ」**によって様々な種類に分けられます。それぞれの特徴を理解し、自分の悩みや目的に合ったものを選ぶことが重要です。

  • 素材による違い:
    • PDO(ポリジオキサノン): 最も一般的。柔軟性があり、引き上げ力とコラーゲン生成のバランスが良い。持続期間は約1年。
    • PCL(ポリカプロラクトン): 最も持続期間が長い(約2〜3年)。しなやかで、長期的な効果を求める場合に適している。
    • PLLA(ポリ-L-乳酸): 硬めの素材で、コラーゲン生成能力が非常に高い。肌のハリを出す効果に優れる。持続期間は約1年半〜2年。
  • 形状による違い(コグの付き方):
    • 双方向(バイディレクショナル)タイプ: 糸の両端に向かってコグが付いており、中央で組織をしっかりと引き上げる。強いリフトアップ効果が期待できる。
    • 単方向(ユニディレクショナル)タイプ: 一方向にのみコグが付いており、片側を固定して引き上げる。
    • 3Dメッシュタイプ: 糸がメッシュ状になっており、組織との接触面積が広く、より強力なリフトアップとコラーゲン生成を促す。

どの糸が良いかは、たるみの原因(皮膚のゆるみ、脂肪の下垂など)、部位、求める効果(リフトアップ重視か、ハリ感重視か)によって異なります。 専門の医師が、あなたの顔立ちや肌質を診察した上で、最適な糸の種類を組み合わせて提案してくれます。

17. 施術後に顔が凸凹になることはありますか?

施術直後に、一時的に凹凸や引きつれが生じることはありますが、通常は時間と共に改善します。

  • 一時的な凹凸の原因:
    • 腫れやむくみ: 施術による炎症で、部分的に腫れが強く出ることで凹凸に見えることがあります。
    • 糸の引き上げ: 糸のコグが皮下組織をしっかりと掴んでいる証拠でもあります。特に表情を動かした際に、一時的に糸のラインが浮き出て見えることがあります。
    • 内出血: 内出血が部分的に起こることで、その部分が膨らんで見えることがあります。

これらの症状は、通常1〜2週間、長くても1ヶ月程度で、糸が組織に馴染み、腫れが引くことで自然に解消されていきます。

長期間続く凹凸のリスク

  • 不適切な層への挿入: 糸が皮膚の浅すぎる層に挿入されると、凹凸が目立ちやすくなります。
  • 引き上げの強さが不均一: 糸の張力調整がうまくいかないと、部分的に強く引き上げられてしまい、凹みが残ることがあります。

これらは施術者の技術力に大きく左右されます。万が一、1ヶ月以上経っても凹凸が改善しない場合は、施術を受けたクリニックに相談してください。 マッサージで馴染ませる、あるいは糸を調整するなどの処置が必要になる場合があります。

18. 糸リフトで失敗することはありますか?

残念ながら、医療行為である以上、失敗のリスクはゼロではありません。 主な失敗例としては以下のようなものが挙げられます。

  • 効果が感じられない:
    • たるみの程度に対して糸の本数が少なすぎる。
    • 糸の挿入位置や引き上げる方向が適切でない。
    • そもそも糸リフトが適応でない(骨格の問題など)。
  • 不自然な仕上がり:
    • 左右差が出てしまう。
    • 顔が引きつれて、表情が不自然になる。
    • 頬がコケて見えたり、逆に膨らみすぎたりする。
  • 合併症・後遺症:
    • 凹凸やひきつれが長期間改善しない。
    • 糸が皮膚から露出してしまう。
    • 神経を損傷し、しびれや麻痺が残る(極めて稀)。
    • 感染を起こし、腫れや痛みが長引く。

これらの失敗を避けるためには、解剖学を熟知し、経験豊富な医師を選ぶことが何よりも重要です。また、カウンセリングで自分の希望を正確に伝え、リスクについても十分に説明を受け、納得した上で施術に臨む姿勢が大切です。

19. 施術が受けられない人はいますか?

はい、安全性の観点から、以下に該当する方は糸リフトの施術を受けられない場合があります。

  • 妊娠中・授乳中の方
  • 施術部位に皮膚感染症や皮膚炎がある方
  • 重度のケロイド体質の方
  • 血液をサラサラにする薬(抗凝固薬、抗血小板薬)を内服中の方(※休薬可能であれば施術できる場合もあります。必ず主治医と相談が必要です)
  • コントロール不良の糖尿病や高血圧など、重度の全身性疾患をお持ちの方
  • 使用する糸の成分に対してアレルギーがある方
  • 過度な期待をお持ちの方や、精神的に不安定な状態にある方

上記以外にも、既往歴や体質によっては施術が適さないと判断されることがあります。カウンセリングの際には、自身の健康状態について正直に、そして正確に医師に伝えることが非常に重要です。

20. 糸は最終的にどうなりますか?

体内で安全に分解・吸収され、最終的にはなくなります。

糸リフトに使用されるPDO、PCL、PLLAといった素材は、「加水分解」というプロセスを経て、体内で少しずつ分解されていきます。最終的には水と二酸化炭素に分解され、体外に排出されるか、体内の正常な代謝プロセスに取り込まれます。

このプロセスは非常に緩やかで、体に害を与えることはありません。 もともと外科手術の縫合糸として、体内に残しても安全であることが確認されている素材ですので、異物として永久に体内に残り続ける心配はありません。

糸が溶けてなくなった後も、その周辺に形成された自己コラーゲンのフレームワークが、しばらくの間は肌のハリやリフトアップ効果を支え続けます。

21. 施術後、レーザー治療は受けられますか?

はい、可能ですが、一定期間を空ける必要があります。

糸リフトの施術後は、皮下組織がデリケートな状態にあります。この時期にレーザーや高周波(RF)、ハイフ(HIFU)などの熱を加える治療を行うと、以下のようなリスクが考えられます。

  • 炎症の増悪: 腫れや痛みが長引く可能性があります。
  • 糸への影響: 熱エネルギーによって、挿入した糸が変性したり、想定より早く分解されたりする可能性があります。

安全に治療を受けるための一般的な目安として、糸リフトの施術後、最低でも1ヶ月、できれば2〜3ヶ月は期間を空けることが推奨されます。

逆に、レーザー治療やハイフを先に受けた場合は、その治療によるダウンタイムが完全に落ち着いてから(通常1ヶ月程度)、糸リフトの施術を受けるのが良いでしょう。

治療の順番や間隔については、必ず両方の治療を担当する医師に相談し、最適なプランを立てることが重要です。

22. 糸リフトとハイフ、どちらが良いですか?

糸リフトとハイフ(HIFU)は、それぞれ得意なことやアプローチが異なるため、一概にどちらが良いとは言えません。たるみの原因や求める効果によって最適な選択は変わります。

  • 糸リフトが向いている人:
    • 特徴: 糸の力で物理的に皮膚や脂肪を**「引き上げる(リフトアップ)」**治療。
    • 効果: フェイスラインのもたつきや、ほうれい線、マリオネットラインなど、目に見えるたるみを直接的に改善したい場合に高い効果を発揮します。即効性を求める方にも適しています。
    • キーワード: 引き上げ 即時性 物理的
  • ハイフ(HIFU)が向いている人:
    • 特徴: 超音波の熱エネルギーで皮下のSMAS(筋膜)層を加熱し、組織を**「引き締める(タイトニング)」**治療。
    • 効果: 顔全体の引き締め、肌のハリ感アップ、たるみの予防効果が期待できます。メスや針を使わないため、ダウンタイムがほとんどないのが最大のメリットです。
    • キーワード: 引き締め 予防 ダウンタイムが少ない

結論として、

  • 今あるたるみをしっかり持ち上げたいなら → 糸リフト
  • 顔全体を引き締めて、たるみを予防したいなら → ハイフ

また、この二つは非常に相性が良く、**組み合わせて治療を行う(コンビネーション治療)**ことで、引き上げと引き締めの両面からアプローチでき、より高い相乗効果が期待できます。

23. 施術後のメイクはいつから可能ですか?

施術の翌日から可能です。ただし、いくつか注意点があります。

  • 当日はNG: 施術当日は、針穴が完全に塞がっておらず、感染のリスクがあるため、メイクは避けてください。
  • 翌日以降の注意点:
    • 傷口(針穴)を避ける: 糸を挿入した箇所のメイクは、かさぶたが自然に取れるまで(約1週間)は避けるのが安全です。
    • 優しく、擦らない: ベースメイクを塗る際も、クレンジングをする際も、顔を強く擦ったり、圧力をかけたりしないように注意してください。スポンジやブラシで優しく乗せるようにしましょう。
    • 清潔な道具を使う: スポンジやブラシは清潔なものを使用し、雑菌が入らないように配慮してください。

24. 施術後、飲酒や喫煙はできますか?

施術後、少なくとも1週間は控えることを強く推奨します。

  • 飲酒:
    • アルコールには血管を拡張させ、血行を促進する作用があります。
    • 施術後に飲酒をすると、腫れや内出血、痛みを悪化させる原因となります。
    • 重要な会食などがある場合は、施術日を調整することをおすすめします。
  • 喫煙:
    • タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮させる作用があります。
    • 血行が悪くなることで、傷の治りが遅れたり、感染症のリスクが高まったりします。
    • また、喫煙は肌の老化を促進する大きな要因であり、コラーゲンの生成を妨げるため、糸リフトの効果を十分に得られなくなる可能性もあります。長期的な美肌のためにも、これを機に禁煙を検討するのも良いでしょう。

25. 施術後の運動はいつから可能ですか?

激しい運動は、施術後2週間〜1ヶ月は控えてください。

  • 軽い運動(ウォーキングなど):
    • 血行が過度に促進されない程度の軽い運動であれば、施術後1週間を過ぎたあたりから様子を見ながら再開しても良いでしょう。
  • 激しい運動(ランニング、筋トレなど):
    • 血圧が上がり、血流が激しくなる運動は、腫れや痛みをぶり返させたり、糸の定着を妨げたりする可能性があります。最低でも2週間は控え、可能であれば1ヶ月は様子を見るのが安全です。
  • 顔に圧力がかかる運動(ヨガの逆転ポーズ、水泳など):
    • 顔に直接圧力がかかったり、水圧がかかったりする運動は、1ヶ月は控えるようにしてください。

焦らずに、体の状態と相談しながら徐々に運動の強度を上げていくことが大切です。

26. 糸リフトの費用相場はどのくらいですか?

糸リフトの費用は、使用する糸の種類、本数、そしてクリニックによって大きく変動します。

あくまで一般的な目安ですが、以下の範囲を参考にしてください。

  • 糸1本あたりの相場: 3万円~10万円
  • 施術1回あたりの総額相場:
    • 軽度のたるみ改善(4〜8本): 15万円~40万円
    • 中程度のたるみ改善(10〜16本): 40万円~80万円
    • しっかりとしたリフトアップ(20本以上): 80万円以上

費用に含まれるもの

  • カウンセリング料
  • 施術料
  • 糸代
  • 麻酔代
  • 薬代(痛み止め、抗生剤など)
  • アフターケア(再診料など)

クリニックによっては、上記の一部が別途料金となる場合があります。「〇〇円〜」といった表示だけでなく、総額でいくらかかるのか、追加料金が発生する可能性はあるのかをカウンセリング時に必ず確認しましょう。自由診療のため、価格設定はクリニックに委ねられています。安さだけで選ばず、医師の技術力やアフターフォロー体制なども含めて総合的に判断することが重要です。

27. カウンセリング当日に施術は可能ですか?

はい、多くのクリニックでカウンセリング当日の施術に対応しています。

当日施術を希望する場合は、以下の点を事前に確認・準備しておくとスムーズです。

  • 予約時に伝える: 電話やWebで予約する際に、「カウンセリング後、当日施術を希望」と伝えておきましょう。クリニック側も時間に余裕を持った枠を確保してくれます。
  • 施術後の予定: 当日は施術後にダウンタイムが始まることを考慮し、重要な予定は入れず、まっすぐ帰宅できるように準備しておきましょう。
  • メイク: 当日はメイクをせずに来院するか、クリニックで落とせるように準備していくとスムーズです。
  • 支払い方法: 事前に支払い方法(現金、クレジットカード、医療ローンなど)を確認しておきましょう。

ただし、焦って決断する必要は全くありません。 カウンセリングを受けて、少しでも迷いや不安があれば、一度持ち帰ってじっくり検討する時間を取ることも非常に大切です。

28. 糸リフトに最適な年齢はありますか?

一概に「〇歳が最適」という年齢はありません。年齢よりも、たるみの状態や悩みが出てきたタイミングが重要です。

  • 20代後半〜30代:
    • 目的: 本格的なたるみが現れる前の**「予防」**として非常に有効です。フェイスラインが少しもたついてきた、将来のたるみが心配、という段階で始めることで、老化の進行を緩やかにすることができます。
  • 40代〜50代:
    • 目的: ほうれい線やマリオネットライン、フェイスラインの崩れなど、**目に見えてきたたるみの「改善」**を目的とする方が最も多い世代です。リフトアップ効果を実感しやすいと言えます。
  • 60代以上:
    • 目的: たるみが進行している場合でも、自然な範囲でのリフトアップは可能です。ただし、皮膚のゆるみが強い場合は、糸リフトだけでは限界があり、他の治療(ヒアルロン酸注入や外科的リフトなど)との組み合わせが必要になることもあります。

結論として、糸リフトは「たるみが気になり始めた時」が始めどきと言えるでしょう。

29. 糸を追加することはできますか?

はい、可能です。

糸リフトの施術後に、以下のような理由で糸を追加するケースは珍しくありません。

  • 効果の増強: 施術後、もう少しリフトアップ効果を高めたいと感じた場合。
  • 左右差の調整: もともとの骨格やたるみの左右差により、仕上がりにわずかな差が出た場合の微調整。
  • メンテナンス: 1年〜2年が経過し、効果が薄れてきたと感じた際のメンテナンスとして。

追加施術のタイミングとしては、前回の施術によるダウンタイム(腫れやむくみ)が完全に落ち着いた後、最低でも1ヶ月以上空けるのが一般的です。

担当医と相談し、現在の状態を評価してもらった上で、最適な本数と挿入位置を再度デザインしてもらいましょう。

30. 施術後、顔のマッサージはできますか?

施術後、最低でも1ヶ月は顔のマッサージを避けてください。

糸リフトは、コグ(トゲ)を皮下組織に引っ掛けて固定することでリフトアップ効果を得ています。この糸が組織にしっかりと馴染み、定着するまでには約1ヶ月かかります。

この大事な時期にマッサージで強い圧力をかけてしまうと、

  • 糸がずれる、外れる
  • リフトアップ効果が弱まる
  • 内出血や痛みが再発する
  • 糸が断裂する

といったリスクがあります。エステでのフェイシャルマッサージや、美顔器の使用も同様です。セルフマッサージももちろん控えてください。

1ヶ月が経過した後も、いきなり強いマッサージをするのではなく、優しく行うようにしましょう。心配な場合は、施術を受けたクリニックに相談し、どの程度のマッサージなら可能かを確認するのが最も安全です。

まとめ

糸リフトに関する30の疑問にお答えしてきましたが、あなたの不安や疑問は解消されたでしょうか。

糸リフトは、メスを使わずにたるみを改善し、同時に美肌効果も期待できる非常に魅力的な治療法です。しかし、その効果を最大限に引き出し、満足のいく結果を得るためには、正しい知識を持つことが不可欠です。

施術のメリットだけでなく、ダウンタイムやリスク、費用、アフターケアの重要性までを総合的に理解し、信頼できる医師のもとで、ご自身の状態に最適な治療計画を立てることが成功への鍵となります。この記事で得た情報が、あなたが後悔のない選択をするための一助となれば幸いです。

あなたの美しさへの探求が、素晴らしい結果に結びつくことを心から願っています。

 

美容医療は 「自己肯定感を高めるための選択肢のひとつ」 という信念の もと、一人ひとりの美しさと真摯に向き合う診療スタイルを貫いています。現在は、アジアの美容外科医との技術交流や教育にも力を入れ、国際的なネットワークづくりにも取り組んでいます。

  • <所属学会>

  • 日本美容外科学会JSAS

  • 日本美容外科学会JSASPS

  • 日本形成外科学会

  • 乳房オンコプラスティック

  • <資格>

  • 日本外科学会専門医

  • コンデンスリッチファット療法認定医

  • Total Definer by Alfredo Hoyos 認定医

  • VASER Lipo 認定医

  • RIBXCAR 認定医

【監修医師】

Casa de GRACIA GINZA / GRACIA Clinic 理事長 美容外科医・医学博士 樋口 隆男 Takao Higuchi

18年間にわたり呼吸器外科医として臨床に携わり、 オーストラリアの肺移植チームでの勤務経験も持つ。外科医としての豊富な経験を土台に、10年前に美容外科へ転向。現在は東京・銀座と福岡に美容クリニックを展開し、これまでに10,000例以上の脂肪吸引、4,000例を超える豊胸手術を手がけている。特にベイザー脂肪吸引、ハイブリッド豊胸、脂肪注入豊尻、肋骨リモデリング(RIBXCAR)、タミータック、乳房吊り上げなどのボディデザインを得意とし、自然で美しいシルエットづくりに国内外から定評がある。